2016年3月18日より全国公開/R-15
東宝東和
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性別違和について描かれた作品は、ある種好奇の目で観られると同時に、そのテーマだけが一人歩きしてしまうことが多いように思いますが、アカデミー助演女優賞を受賞したアリシア・ヴィキャンデル、主演のエディ・レッドメイン(アカデミー賞主演男優賞にノミネート)の素晴らしい演技によって、主人公たちの心情を私達の身近なものとして感じながら観ることができました。これは実話の映画化で、物語の舞台は1926年のデンマーク、コペンハーゲン。最初は男女の夫婦として普通に生活していた2人が、ふとしたきっかけでまさかこんな風に変化していくなんてと驚くと同時に、時代を問わず、私達の周りでこういうことがあっても不思議ではないと思いました。でも、やっぱりこの時代は今よりもっと性別違和について理解が得られなかったでしょうから、彼らの苦悩は計り知れないし、自分がもし彼らの立場だったらと考えると、生きていけるかどうか、心が持つかどうか、自信がありません。女性としての自分でいられない主人公のアイナーの苦悩、リリーになっているときにだけ輝く瞬間など、本当にエディ・レッドメインの演技はすごいと実感しましたが、最後はアイナーが本当にリリーになれたと誰の目にも映ると思います。愛する夫の「女性になりたい、本当の私は女性だ」という思いをどうにか受け入れようとするゲルダの複雑な心情もひしひしと伝わってきて、彼を解放してあげたいけれど、自分にとっても”彼”が必要という思いに本当にやるせない気持ちになりました。でも、この2人が自分の意図に反する部分も含めて、苦しみながらこういう結末を迎えたこと自体が、夫婦として素晴らしく、性別がどうという問題を超えて2人は本当の夫婦なんだなと感動しました。この偉大な愛にぜひ触れてください。 |
苦悩に満ちた人生ながらも深く美しい夫婦愛が描かれているので、デートでぜひ観て欲しいところですが、性的違和などの問題について理解が浅く偏見があり良い印象を持っていない方も多少いると思うので、素直に観る余地がなさそうな方を誘うと、どういう反応にするのか読めないし、自分も純粋に集中して楽しめるかどうかがわからないので、同じスタンスの方と観るのをオススメします。こういったテーマにどういうスタンスかすらまだわからない相手なら、一緒に観て、自分と価値観が合うかを知るきっかけにしても良いでしょう。 |
R-15なので、15歳になってから観てください。カミングアウトをしていなくても、主人公と同じ問題を抱えている友達が身近にいるかも知れません。学生のうちは余計にこういった話題を改めてすることは少ないと思いますが、だからこそ、問題を抱えた人達がどんなことで苦しんでいるのか、どんな心境で毎日過ごしているのか、こういう作品で知ることは大事だと思います。 |
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2016.3.7 TEXT by Myson