2015年8月1日より全国公開
KADOKAWA
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本作は、1960年代に世界的な大ヒット・ソングを生みだしたザ・ビーチ・ボーイズの中心的人物ブライアン・ウィルソンにまつわる知られざる真実を映画化。ザ・ビーチ・ボーイズのことはよく知りませんでしたが、本作で流れてきた歌は誰でも聴いたことがあるような有名な曲でした。爽やかな曲からはイメージが全く結びつかない壮絶な人生が描かれているのでかなりショックを受けましたが、やっぱりショービズ界ってこういう事が起きていてもおかしくないんだなと怖くなりました。ただ、ここで描かれているのは偏った見解ではなく、フラットなスタンスで描かれていた印象で、ショービズの世界のプレッシャーに押しつぶされ壊れていくスターと、彼らを食い物にしようとする人達の両面での狂気が描かれています。この作品はブライアン・ウィルソン本人が公認しているというので、とてもリアルに描かれているということだと思いますが、それもジョン・キューザック、ポール・ダノ、エリザベス・バンクス、ポール・ジアマッティという実力派俳優たちのなせる業だと思います。1960年代のブライアンをポール・ダノ、1980年代のブライアンをジョン・キューザック、1980年代のブライアンの恋人役をエリザベス・バンクスが演じていて、皆素晴らしかったのですが、特に印象的だったのはポール・ジアマッティが演じる悪徳精神科医です。精神的に不安定になったブライアンの主治医として彼から自由を奪い全てを支配し、それを阻止しようものならどんな相手でもねじ伏せてしまう圧倒的な力を誇示するのですが、その演技は本当にリアルで観ていて怖かったです。彼のキャラクターの威圧感で観ているこちらもブライアンと同じ感覚を味わうので、彼が当時どんなに怖い思いをしていたかを想像すると本当に切なくなります。でも、最終的にイヤな終わり方はしないので安心して観てください。それにしてもスターの人生って悲劇ばかりなのかな〜と思っちゃいますね。まあ映画になるにはそれくらいのドラマでないと映画にならないだけで普通に幸せなスターもいるかも知れませんが、自分は一般人で良かったなと思わせられる一作でした(笑)。 |
本作には本当に悪い奴が出てくるのですが、それを阻止しようと必死になる恋人の姿が描かれていて、カップルの絆を深めてくれそうな内容です。物語は正直暗いテンションなのですが、最後は清々しく終わるので、本命とのデートで観るにはオススメです。愛する人のことを本当に思って行動するってこういうことだなとお手本になる部分があるので、ぜひ参考にして、自分たちもお互い窮地に立ったら相手を信じて行動できるか考えるきっかけにしてみてください。 |
キッズ向きの内容ではありません。せめて中学生以上になってから観る方が良いでしょう。ティーンの皆さんはスターに憧れる年代だと思いますが、本作でスターの苦悩を目にすることで社会の怖さを知ることができます。観ていて辛い部分もありますが、多くの人の前に出ることはそれだけ大きな責任があり、多くの人の関心を集めることはそれだけ干渉されてしまうリスクもあるということを知るのは、今後の自分の進路を決める際に少しでもためになると思いますよ。ただ暗い観方だけをオススメしているわけではありません。本作に登場するザ・ビーチ・ボーイズや、その音楽などに興味を持ったり、いろいろなところに好奇心を持って観てもらえれば良いと思います。 |
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2015.7.21 TEXT by Myson