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ラビング愛という名前のふたり

2017年3月3日より全国順次公開
ギャガ
公式サイト

人種差別と戦った人達の実話は数多くありますが、本作は白人と黒人の結婚にまつわるストーリーです。舞台は1958年のアメリカ。バージニア州では異人種間の結婚は罪に問われるとわかっていながら、恋人のミルドレッドから妊娠を告げられ、結婚に踏み切ったリチャード・ラビング。彼の男らしさ、誠実さ、そして、身の危険にさらされながらも妻として戦ったミルドレッドにも共感できます。この映画で注目すべきは、2人は本当に普通の国民であること。社会運動を扇動したわけでもなく、ただ生まれ育った故郷で一緒に夫婦として暮らしたいというささやかな願いを叶えたいだけの2人。結果的に政治に巻き込まれる部分はありますが、静かに戦う彼らの姿は、とても身近な存在に感じられます。一方、結婚を阻もうとする警察の言い分が、犬や猫の話をするように、彼らの結婚に異議を唱えるのには強い反発心を覚えました。夫婦は子孫を産むだけの機械ではありません。そんな身勝手な考えが蔓延する社会、時代に、諦めなかった2人がいたからこそ、変化が訪れたわけですが、たった2人でも彼らが戦ったことが大きな変化に繋がったと思うと、現状の社会に嘆くばかりで何もしない人と、社会を変えるなんて思っていなくてもいつの間にか貢献している人との違いを感じました。一人ひとりの声や力は、思っている以上に大きい。本作から、楽な生き方、妥協した生き方を選択しない勇気をもらいました。

軸は社会派ドラマですが、大きな苦難を乗り越える夫婦の物語なので、デートでもぜひ観て欲しいと思います。苦悩の時期が描かれてはいますが、そんな仕打ちにあっても揺るがない愛を持ち続ける2人はとても素敵です。また夫を立てる妻ミルドレッド、どんな時も妻を思いやるリチャードの姿からも学ぶべきところがあります。結婚のプレッシャーを感じ過ぎているカップルが観ると、どう反応するかわかりませんが、アツアツのカップルが観れば、気持ちがより盛り上がるかも。もちろん、夫婦や、これから結婚するカップルにもオススメです。

難しい内容ではありませんが、アメリカの歴史や社会背景が理解できる年齢になってから観るほうが良いのと、大人向けのストーリーなので、中学生以上にオススメです。日本でも離婚率が上がったり、結婚する人が減っているという報道が増えましたが、結婚は尊いものだと思える内容です。結婚に幻滅するような情報ばかりではなく、結婚の素晴らしさも感じられる作品を、ティーンの皆さんには観て欲しいです。

2017.2.20　TEXT by Myson

ラビング 愛という名前のふたり

ラビング愛という名前のふたり