2011年11月5日全国公開
ロングライド
公式サイト 予告編
4歳の息子を交通事故で失った夫婦が、その辛さをそれぞれの方法で乗り越えようとする様子をリアルに描いた本作。夫婦で全く逆の方法で息子のいない生活をやり過ごしている姿に複雑な心境になりました。妻は息子の影を生活から消そうとするし(心にあるからこそで、目にすると辛いから)、夫はなるべく息子の名残を目に見える形で置いておこうとする…。ここまで真逆だと絶対に離婚すると思ってしまう人が多いと思います。案の定、夫婦には危機が訪れるのですが、どこかで歯止めになっているものが何かあるんですよね、きっと。息子を亡くしたからこそ夫婦が一丸となって生きようなんて綺麗事だけでは生きていけない夫婦関係の難しさがひしひしと伝わってきました。こういうときこそ、価値観の違いが明確になるし、生き方を選択する機会になりますよね。そんな風景を映画とはわかりつつ、結構リアルに物語に入り込んで疑似体験した感じです。夫が妻をマッサージするシーンなんて、妻の冷え冷えとした態度がどこにでもありそうな感じで切なくなりました。自分のことに精一杯になっているとき、余裕がないときって、片方が歩み寄ろうとしてもこんな感じになって、片方の根気が絶えたらおしまいだよな〜と思いました。夫婦って所詮他人だからという現実と、他人だけれど一緒にいてくれるだけで強く生きられるという両面を観られる映画です。 そして、監督が『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』で主演のジョン・キャメロン・ミッチェルってのもおもしろいですよね。本作は監督作としては3作目ですが、今回は監督業に専念しています。 |
結論としては大丈夫な内容なのかも知れないですが、夫婦の危機を描いた作品なので、いろいろと考えさせられてしまい、余計な触発を受ける可能性があるのは否めません。所詮、夫婦は他人同士で価値観も違う部分が必ずあると思いますが、本作は息子の死によって、その苦悩を乗り越えようとする夫婦が真逆の方法で立ち向かう姿を描いていて、価値観の違いによる摩擦をリアルに描いています。でも、その先に夫婦はどういう選択をするのかというのは、勉強になる部分もあるのではないでしょうか?ちょっと大袈裟ですが、覚悟の上なら、夫婦で観ることを逆にお薦めします。デート向きというよりは、夫、彼との価値観の違いにこのまま関係を続けて良いのか迷っている場合など、客観視する材料として一人か友人と観に行くのが良いと思います。 |
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2011.10.29 TEXT by Myson