>映画に隠された恋愛哲学とヒント集11

親友としてはすごく相性が良いのに夫婦となるとしっくりいかないセレステとジェシー。キャリアウーマンのセレステは責任感や正義感が強く、今のところ家庭を支えている。イラストレーターとしてなかなか売れないジェシーは「何とかしなきゃ」という気持ちはありつつも、重い腰を上げずにダラダラ。ついに二人は離婚を考えますが、未練のあるジェシーに対して、セレステは、「ジェシーには礼装用の靴も口座もないから、子どもが産まれたらかわいそう」という理由で離婚を正当化。でも、このセレステの合理的な考え方がそもそもの問題だったのかも…なんて思える展開になります。

物語の始まりでは、すごく仲が良いにも関わらず、夫婦としては諦めてしまった二人が離婚を目前に生活をともにしています。この時点ではセレステ＝できる妻、ジェシー＝ダメ夫という構図だったので、セレステはジェシーを男としてどれだけ手放し難いかは実感していません。ジェシーの方が未練を感じているくらいなので、より一層セレステは二人の関係で自分が主導権を握っていると考えています。でも、ジェシーが過去に一度浮気したことが発覚し、事態は急変。突然のライバルの出現にセレステは尋常ではいられなくなります。初めはとても合理的な考えをしていたセレステですが、皮肉にも後半はジェシーが合理的な決断をすることになります。
ストーリー上、セレステが日常でいかに「正しくあろうとしているか」も描かれているのですが、その彼女がクライマックスのシーンでは自分にとっての正しさが相手にとってどうだったかを考えています。30歳を超え年齢的にも大人で、それまでいろいろな苦労を乗り越えて生きる強さを得て、仕事でも責任のある立場にいて…という女性なら、セレステのような思考になるのは当然だと思います。でも、男性に対してどう接するかという問題になると、事情は少々変わってくるようです。きっとセレステはセレステらしくあっても良かったと思いますが、その自分らしいあり方をジェシーにどう表現するかが鍵だったのかも知れません。やはり男性にとって、いくらできる女でも窮屈さを感じさせられたらダメなんでしょうね。