>映画に隠された恋愛哲学とヒント集13

貧しい境遇から這い上がろうと野心を燃やすジョルジュは、権力を持つ男ではなく、その妻を手玉にとってのし上がっていきます。美しい容姿で、女性が喜ぶツボを心得ているジョルジュは、いとも簡単に女性たちを落としていきます。いくら昇進しても彼の野心は冷めることはなく上にいけばいくほど欲望が増していきます。でも、そもそも実力があってのしあがったのではないだけに、男性のなかに入ると女性を操るのと同じようにはいかず、何度も窮地に立たされます。その度にジョルジュはまたもや女性を利用して這い上がっていきますが、そうしているうちに、彼には野心だけが残り、愛には目もくれなくなります。

一度に何人もの女性を相手にして愛を弄んでいるように見えるジョルジュ。野望を叶えるために利用しているとはいえ、初めのうちは少しは女性からの愛を欲しているようにも見えます。でも、女性たちにもいろいろなタイプがいて、ジョルジュに女性として扱われることに喜びを感じ彼に執着する者や、肉体的な結びつきだけでなくどんなときもジョルジュを受け入れてくれる者、ジョルジュと同じように野望を胸にしたたかに成功しようと目論む者、それぞれと接していくことで、彼自身も翻弄されます。その様子は必ずしも彼が主導権を握っているようには見えません。そして、窮地に立たされたときに見せるジョルジュの反応はある意味女性的で、ヒステリックです。女性にとっては魅力的な男性に見えても、女性のなかでしか生きられない男性なのかも知れません。
彼を見ていると、愛を弄んでいても弄ばれていても同じことに思えます。優位にたっている気でいても、いつまでたっても愛には恵まれず、不幸なだけです。どんなに魅力的に見えても中身が薄っぺらな男なのです。こういうタイプはいくら調教しようとしても無駄です。表面的な魅力で相手には困らないとしても本当の恋愛はできないタイプです。もしあなたが今この手の人を相手にしているなら早く目を冷ましましょう。逆にあなた自身がジョルジュのように人を弄んで楽しんでいるならば、自分の立場が必ずしも優位ではなく、幸せでもないことを客観視すべきです。