>映画に隠された恋愛哲学とヒント集18

セックスがしたいという欲望だけで男女が集まった乱交パーティ。ただ、そうはいっても「はい、じゃあお願いします」とすぐにそういう行為に移すわけにもいかない人たちの様子がとても興味深いです。
お国柄もあると思うので、他の国ではもしかしたらもっとスムーズに事が運ぶのかも知れませんが、日本人はやっぱりこういう感じになるんだろうなという雰囲気は観ていて納得。人間は理性も働くので、繋がれば良いというものでもないようです。

同じセックスに対するスタンスについて、「男性は生理現象として割り切った考え方ができる人が多いが、女性は心が伴うセックスを好む人が多い」という説がありますが、男女という性差よりもっと根本の、人間という生き物レベルでセックス観を探る映画が『愛の渦』。
「セックスがしたい」という欲求だけ満たせれば良いから面倒なことは省いてセックスだけをするつもりで乱交パーティに参加した男女。でも、いざ「どうぞ」というシチュエーションに置かれても、結局普通の合コンなどで交わされるような無難な会話から始まり、なかなか性行為には及びません。ようやく、誰かがこの状況を打破して、性的交流が行われても、次から次へと相手を変えて…という流れだけでなく、なかにはだんだん固定の相手に愛着や嫌悪を感じるキャラクターも出てきます。
「男は寝てしまうと冷めて、女は体の関係を持ったら次の段階を期待する」というのも、ここでは通用しない話。男女問わずこの場所で行う性的行為をどう受け止めているかによって、割り切り方が変わります。結局、これは映画に過ぎませんが、それでもやっぱり人間は「体だけの繋がり」というのは不可能なのではないでしょうか？とはいえ、「寝たあとは割り切る」ということは、人によっては可能。男女関係なく、自分がどういう交際をしたくて、どういうセックス観を持っていて、それに合う人はどういう人なのか、気になる相手と寝る前にやっぱり見極める必要があるでしょう。