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『そこのみにて光輝く』 2014年4月19日より全国公開 2014年11月14日ブルーレイ&DVDリリース(レンタル同時) ©2014佐藤泰志/「そこのみにて光輝く」製作委員会 |
『そこのみにて光輝く』 |
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仕事中の事故で同僚を亡くした達夫は、自暴自棄になり、仕事をせず、パチンコに明け暮れる毎日を過ごしています。そんなとき、パチンコ屋で出会った拓児に自宅に招かれ、そこで拓児の姉、千夏に出会い、二人は惹かれ合います。出会う前までは月日が流れるのに任せているだけのような生活をしていた二人ですが、お互いの存在のおかげで心境が変わり始めます。でも、千夏は両親と弟を養うために、カラダを売る仕事をしていて、達夫はやめるように言うのですが…。 |
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達夫が千夏の職業を知ったとき、彼がとった態度に千夏は激怒します。そこで女のプライドが見えるのですが、達夫に好意を持ちながら、彼の思いを素直に受け止められない千夏がいます。千夏が達夫の覚悟を確かめるときのセリフには、彼女がどれだけのことを抱えて生きているかが伺えるし、そういう世界にしか生きられなくなった自分をどうしようもできないもどかしさもにじんでいます。同僚の死に責任を感じてそこでもがき苦しんでいる達夫に、「だから、私みたいな女がいいの?」と聞くシーンがありますが、愛される価値のある人間かどうか不安な気持ちと同時に、誰に何を思われようと自分にも相手を選ぶ権利はあるという女の意地が見えます。彼女の姿に、恋愛において、相手との関係や、自分の価値はやはり自分が決めるんだなとつくづく感じました。「相手にとってふさわしい相手か」ではなく、まずは「自分にとってふさわしい相手か」という視点で見ることで、本当の愛を見分けられるのかも知れません。 |
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TEXT by Myson