映画に隠された恋愛哲学とヒント集34

仕事の帰り路、誰かと電話で話す主人公のアイヴァン・ロック。彼はそのままハイウェイに乗り、あるところへ急いで向かいます。その夜、家族との約束をしていたようですが、どうやら家に帰るのではなさそうで、会社では明日大きなプロジェクトが控えており、いろいろな人と何度も電話でせわしく話し、段取りをしていきます。
そんななか、不安そうにたびたび電話をしてくる女性がいますが、アイヴァンは彼女をなだめつつ、愛は語りません。2人は一体どういう関係なのか、徐々に明らかになっていきます。

会社では責任ある立場で周囲から信頼を寄せられているアイヴァンは、妻と息子たちからも愛されている様子で、一見すると幸せな男性に見えます。でも、彼はこれから人生を大きく変える決断をしようとしていて、そのために手放したくないものを多く捨て去ろうとしています。不本意ながらなぜそんなことをしようとしているのか。それは彼と父との関係に理由があるようで、彼は父のような人間になりたくないという反発心を胸に抱えて生きてきたようです。
愛する妻に苦渋の決断を伝え、別の女性のもとへ駆けつけようとするアイヴァン。でも、彼がその女性を愛しているわけではないというのが、一番不可解な点ですが、愛よりも「自分はこうでなければいけない」という人間像に縛られているのだと思います。
男女関係において、他者から見れば間違った選択に見える関係性でも、本人にとっては別の優先事項が働いている場合もあると思います。脈がありそうなのに響かない相手は、そういう愛とは別の要因でパートナーを選ぶ主義なのかも知れません。世の中の男女関係は、愛だけで成立しているわけではないということは皆さんどこかでわかっていると思いますが、それが自分が好きな相手だとショックですよね。でも、時と場合、人生経験などで、人の選択は変わってしまう可能性は否めません。