映画に隠された恋愛哲学とヒント集40

1組のカップルが、あらゆるパラレルワールドでも同じように出会い、恋をしている様子が描かれている本作。どのパラレルワールドでも、同じ運命を辿ってしまうのかというテーマを描いています。
その一つの世界で繰り広げられる、2人のやりとりに、男女の思考の違いが表れています。
男性はロマンチックに愛を告白したつもりなのに、女性は予想外の反応…。一体、どういうことなのでしょうか。その謎を紐解きたいと思います。

本作では同じ1組のカップルが登場しつつも、各パラレルワールドでは設定が違うストーリーが展開します。2人はどの世界でも愛し合っているように見えますが、価値観のズレがあり、うまくいかない様子が描かれています。そのなかの一つの世界では、友人の結婚式に出ようと準備しているシーンがあるのですが、こういう状況下では、やっぱり自分達の結婚の話題になることも多そうですよね。このカップルもまさにそんな流れになり、女性はこれまでずっと結婚したいと考えていた様子で、一方の男性はその話を避けたがっているように見えます。煮え切らない男性の態度にいらつく女性…。でもその後に、男性が本心を告げるのですが、このときの言葉に注目すべき表現がありました。
彼女への熱い思いが伝わり、彼女も感動したところで、あとはトドメの決め台詞と思って彼が言ったのは「君の一番好きなところは、僕を愛してくれるところ」というような言葉でした。この瞬間に、彼女は冷めてしまい「惜しかったわね」と一言つぶやいてその場を去ります。一見「素敵なことを言ってくれているのに、どうして？」と思える場面なのですが、私なりの分析をしてみます。彼の言葉を裏返せば、[彼女が彼を愛していなければ、彼は彼女を愛さない]という風にも解釈できますよね。こう思うと、確かに彼女が冷めた理由も納得できます。ギブ・アンド・テイクでしか成り立たない愛情って、なんだか嘘くさくありませんか？無意識にそういう考えになってしまう人のほうが多いと思いますが、相手が自分を思ってくれているかどうか以前に、自分は相手を好きなのかを基準に考えるべきだと思います。もちろん、先に向こうが好きと言ってくれたからつきあい始めて自分も好きになったというなら、それはどちらが先に好きになったかというだけの話で、自分にも気持ちがあって関係が成り立っているから良いでしょう。でも、相手の気持ち次第で自分の気持ちもグラグラするようなら、その2人は前途多難だと思います。