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『世界から猫が消えたなら』 2016年5月14日より全国公開 ©2016 映画『世界から猫が消えたなら』製作委員会 |
『世界から猫が消えたなら』 |
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突然の頭痛に襲われ、医師から余命わずかだと宣告された主人公は、目の前に表れた彼と瓜二つの“悪魔”に、寿命を1日延ばす代わりに、世界から1つずつ何かを消すことを約束させられます。消すものは“悪魔”に決められるのですが、電話、映画、猫と順に消されようとするなかで、主人公は、モノの大切さ以上に、そのモノを通して出会ってきた人々や体験を思い出していきます。この物語は、恋人、友達、家族について描いていますが、ここでは恋愛の部分にフォーカスしたいと思います。 |
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まず始めに“悪魔”が消そうとしたのは電話。主人公は、電話が消える前に元恋人に電話します。2人は久しぶりに再会するのですが、事情を知らない彼女は怪訝な表情。でも思い出話をするうちに、だんだんと良い思い出を蘇らせていきます。“悪魔”は、次に映画をなくそうと言い出すのですが、電話と映画がこの世界からなくなったってどうにかできるでしょうと、こちらも始めは思いつつ、電話と映画がきっかけで付き合うことになった2人の思い出を観ていると、物体が無くなるだけではなく、それにまつわる大事な出会いや思い出のすべてがなくなるということを痛感します。これだけでも、恋愛は最終的に結婚するというゴールを迎えるか否かに関係なく、恋をして思い出に持っているだけでも、尊いことなのだと思えてきます。さらに、客観的に観てお似合いの2人だし、どうして別れたんだろうと疑問を持ちながら、物語を追っていくのですが、やがて別れのきっかけが見えてきます。恋愛は相思相愛というだけで成立するものではなく、不可抗力が働き関係が狂ってしまうこともあるのだという現実を目の当たりにするのですが、別れても2人はどこかで繋がっていて、彼女はそっと彼を見守っていたのだということもわかっていきます。 |
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TEXT by Myson