映画に隠された恋愛哲学とヒント集47

同じクリエイティブな世界で生きる、20代の夫婦と、40代の夫婦が登場する本作。ドキュメンタリー映画を撮って出世したいと野心を燃やす20代のジェイミーは、身の回りで活かせることは何でも利用するタイプ。妻のダービーもそんな夫を全力で支えているのですが…。

ドキュメンタリー映画の監督として何年かけても新作が出来上がらずに資金難に陥っている40代のジョシュと、同じくドキュメンタリー映画の監督として成功を夢見て、何でも要領よくやってのける野心満々のジェイミーは、対比的に描かれています。ジョシュは「もっと周囲に頼れば良いのに」と思う一方で、ジェイミーは「そこまで周囲を利用するか！」と思えるほど、真逆。お互いの妻は、彼らの仕事に役に立つ切り札を持っていますが、ジョシュはなるべく妻を頼らずにやろうとして、ジェイミーはダービーの伝手を構わず利用します。人間的にどちらのやり方に共感できるかと言われれば、ジョシュに決まっているのですが、“自分の夫”の成功という視点で見れば、何をやっても鳴かず飛ばずよりも、成功する突破口を自分が持っているなら差し出したい気持ちもわからなくもありません。
何をお願いされるかによっては快くとはいかないまでも、彼に全てを差し出すかどうかの判断は、「利用されていると思うか、結局は自分のためでもあると思うか」によります。利用されているだけと思うなら、相手からの愛を足りないと感じているか、こちらの愛情が足りないせいなのではないでしょうか。結局のところ、相手の成功は自分の成功と割り切れるくらいでなければ、自分を犠牲にする恋愛は不幸のきっかけになるように思います。