映画に隠された恋愛哲学とヒント集49

仕事も恋愛も順調な華々しい生活から一転、交通事故によって首から下が不随になってしまい車椅子生活になったウィル。素朴な生活を送りながら、家族のために夢を諦め地道に地元で職を探していたルー。失業中だったルーは、豪邸に住むウィルのお世話をする仕事にありつけますが、事故に遭い、自暴自棄になっているウィルは手を付けられないほどワガママで、天真爛漫なルーでもなかなか心を開けませんでした。でも、ふとした事がきっかけで2人は徐々に心を通わせていきます。ただ、ウィルには隠している事があり、その事でルーとの関係に踏み込むことができず…。

健常者同士のカップルのように自由に出かけたりできないし、遠出するにも一苦労なので、身体が不自由なウィルが、ルーへの気持ちを自覚しつつ、恋愛関係に踏み込めない理由を一見わかったつもりで観てしまいますが、そこには想像を遥かに超える理由が隠されています。どうしても昔の自分と比較してしまうウィルにとって、ルーが今の自分のありのままを愛してくれるとわかっていても、ウィル自身がそれを受け入れられていません。毎朝目が覚める度に絶望と闘っているウィルは、ある決意をしています。それが、ルーにとってどれだけ辛いことか彼はわかっているだけに、彼女を守ろうと距離を保ちます。
クライマックスで、ルーはウィルの決意を知り、ある決断を迫られるのですが、大切な人の障害を受け止めるって、こういうことまで含めた事なんだなと実感する結末が待っています。どの選択が正解かは人それぞれだと思いますが、“誰かの大切な人になること”の重みを考えさせられます。