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『五日物語−3つの王国と3人の女』PG-12 2016年11月25日より全国公開 ©2015 ARCHIMEDE S.R.L. – LE PACTE SAS |
『五日物語−3つの王国と3人の女』 |
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子どもが欲しいがために命をかけた王と女王、若く美しい女だと王に思われ結婚した身分の低い女、姫の結婚相手を自分の趣味の延長で見つけた王…、彼らの愛と破滅の物語を描く本作は、欲望が先立つ関係で結ばれたカップルの行く末を描いています。欲望が満たされたあと、彼らはどうなってしまうのでしょうか? |
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子どもを望んでいながらなかなか恵まれなかった女王は嘆き悲しみ、ある男に最終手段を問います。それは王の命をかけたもので、女王は王の命よりも子どもを授かることを望みます。女性にとって、子を持つことはとても重要ですが、本当にそれだけが目的で良いのでしょうか?子どもさえいれば幸せなのか、それは子どもにとっても幸せなのか考えさせられます。そして、美しい歌声だけを聞いて、女の正体を知らぬまま惚れこんでしまった王の話は、男女ともに抱く、若さと美しさへの執着を描いています。若さと美しさがなければ結ばれない関係は、そもそも最初から破綻していると言えますが、この関係を保とうとするために、女は大事なものを犠牲にすることに。最後に、父である王の道楽の延長で、結婚相手を決められてしまった姫の物語は、人間の対面を保つために結ばれることの愚かさを描いています。王が王であるために娘を嫁がせ、姫は地獄の生活に。罪悪感にさいなまれる王自身も、不幸な結婚をさせられた姫も、誰も幸せになっていません。 |
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TEXT by Myson