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五日物語－３つの王国と３人の女

2016年11月25日より全国公開／PG-12
東北新社、STAR CHANNEL MOVIES
公式サイト

欲望のままに堕ちてしまった人々の姿を、観る者に叩き付ける恐ろしくも滑稽な物語。シー・モンスターや、巨大な虫が登場するダーク・ファンタジーで映像的にも引き込まれますが、テーマも普遍的なので、誰の心にも刺さると思います。子を産むことと生まれた子ども自身に執着する女王、若さのパワーに魅了される老婆、自分の道楽を優先し都合の良いときだけ“王になる”男…など、欲望のままに進み、ある日突然“夢”から覚めてしまう恐怖のストーリーは、おとぎ話の世界のなかで語られつつ、観ているこちらにも容赦なくリアルに罪悪感を吹き込んできます。映像的描写が本当に生々しいので、ニオイや手触りも伝わってくるほど。サルマ・ハエック、ヴァンサン・カッセル、トビー・ジョーンズ、ジョン・Ｃ・ライリーなど名優が迫真に迫る演技をみせているほか、『ニンフォマニアック』で大胆な演技をみせたステイシー・マーティンも、ボッティチェッリの名画“ヴィーナスの誕生”を彷彿とさせる美しいキャラクターとして登場しています。観た後の後味は個人的に格別でしたが（笑）、皆さんのお口に合うかどうか、ぜひご自身で確かめてください。

いろいろな意味で衝撃的なシーンがありますが、ダーク・ファンタジーということで割り切って観れば、そこまで気まずいことはないと思います。ただ、女性がすごく年上のカップルや、子宝に恵まれずに悩んでいる夫婦やカップルは、若干自分達に置きかえて観てしまいそうな部分があるので、２人で一緒に観るよりは、お友達か１人で観る方が良い気がします。ストーリーもわかりやすいし、インパクト大のクリーチャーも出てくるので、鑑賞後は気楽なトークをしても良いし、テーマは深いのでお互いの価値観を探るトークをしても良いと思いますよ。

PG-12作品なので、キッズは観るなら大人と一緒に、と言いたいところですが、そもそも裸の女性がハーレム状態で出てきたり、キッズには刺激が強そうなシーンがいくつかあるので、無理に今観なくても大きくなってから観てもらえればと思います。人間の性を知る上で、参考になるテーマが描かれているので、ティーンの皆さんは観てみると良いと思いますよ。

2016.11.22　TEXT by Myson