10月31日より、第33回東京国際映画祭(TIFF)が開催となりました!今年は新型コロナウイルス感染予防対策のため、毎年恒例の六本木ヒルズアリーナでのレッドカーペットイベントは実施に至りませんでしたが、東京国際フォーラムホールCのロビーにてレッドカーペットを模したレッドカーペットアライバルが行われました。さらに、オープニングセレモニーも実施され、映画の祭典の幕開けを祝福する豪華なゲストが続々と登場しました!
まずオープニングアクトに登場したのは、FILM SCORE PHILHARMONIC ORCHESTRA。約5分間にわたる名作映画音楽のメドレーを生演奏し、会場を盛り上げました。続いて登場したのは、映画祭の顔であるチェアマンの安藤裕康。挨拶では、「新型コロナウイルスが猛威を振るい苦境が続くなか、映画祭を開催すべきかずっと悩み続けてきました。そして今日こうして皆様のご参列をいただいてオープニングセレモニーを開催できること、本当に感無量でございます」とコメントしました。
そしていよいよ出品作品のゲストが登壇!まず、『10万分の1』より平祐奈と優希美青が登場。続いて『フード・ラック!食運』からEXILE NAOTOと土屋太鳳、そして今回初監督を務めた寺門ジモンの他、キャストのみならずスタッフも登場し、壇上で笑顔を輝かせました。
本年度は、世界中の名だたる映画祭が新型コロナウイルスの状況を鑑み開催が中止となりましたが、リアルでの開催を決断した本映画祭に向けて、海外の映画人からも応援のメッセージが届きました。『TENET テネット』が大ヒット中のクリストファー・ノーラン監督は「このような厳しい時期に、皆さんが大きなスクリーンで映画を観ることをたたえ、そして楽しむ道を見出してくれたことは、私にとって、そして世界中の映画製作者にとってインスピレーションの源となります」とコメントを寄せました。
TIFFにも馴染みの深いタイのアピチャッポン・ウィーラセタクン監督は、「開催を実現させた関係者の皆様の尽力は素晴らしい」とコメントし、さらにカンヌ国際映画祭総代表のティエリー・フレモーは、「世界中の人々に観てもらいたいという期待を抱きながら映画を製作する映画人を励ますと同時に、観客の皆様も勇気づけられることでしょう」とそれぞれ称賛の言葉を贈りました。さらに、俳優ロバート・デ・ニーロからも、日本語で「オメデトウゴザイマス!」と茶目っ気たっぷりなメッセージが到着。客席からは驚きの声が漏れました。
そして、フェスティバル・アンバサダーを務める役所広司もラインナップ記者会見に引き続き祝福に駆け付けました。「ロバート・デ・ニーロさんみたいに短くコメントができれば良いのですが…」と前置きし、「今回の映画祭の開催はこれまでとは異なる形ですので、実行委員の皆様はとても苦労されたかと思います。いよいよ今日から始まる映画祭、観客の皆様と頑張っていきたいと思います。メディアの皆様もどうぞよろしくお願いします!」と、堂々と挨拶しました。
今年は例年とは違い、観客が良かった映画を自ら選ぶ“観客賞”が選出されることに対し、映画を観る時に大事にしている視点を問われた役所広司は、「観客が映画を評価するのは1番正しいこと。でも世界中の映画人が人生をかけて作った作品を評価するのには責任を感じてしまいますね。素直に心を動かされた作品に投票することが大事だと思います。観客の皆さんが重要な役割を担うというのは映画祭の熱気につながると思うので、とても良いことですよね。映画産業を盛り上げる賞になるのではないかな」と期待を寄せました。
日本映画界の今を映し出す“Japan Now部門特集”からは深田晃司監督、森崎ウィン、筒井真理子が登場。部門の選出について深田監督は「本当に驚きました。自分にはまだ特集組んでもらえるようなキャリアはないと思っていたので。しかし2010年に『歓待』という作品で賞をいただいてからちょうど10年なので、もっとがんばれと叱咤激励を受けたと思っています。今回上映される作品は、2005年に自分が初めて人のお金で製作した『ざくろ屋敷バルザック「人間喜劇」より』という映画や、『東京人間喜劇』という自主映画もあります。僕の映画を全く観たことない人に入門編として観てもらえたら嬉しいです」とコメントしました。
“共感度0.1%”と言われている、深田晃司監督作『本気のしるし《劇場版》』の出演について森崎ウィンは、「僕が初めて脚本を読んだ時には0.1%も共感できなかったくらい現実味のないストーリーでした。しかし、撮影前に深田監督と何度も話し合いを重ねてくうちに、いつの間にか深田ワールドに引き込まれていることに気が付きました。どんどん深田マジックにかけられて知らないうちに主人公の辻という役になっていたんです」とエピソードを披露。『よこがお』『淵に立つ』と深田監督の2作品に出演した筒井真理子は、『よこがお』で2019年度芸術推奨文部科学大臣賞という栄えある賞を受賞したことについて、「受賞を聞いた時は、何かの間違いかと思いました。『淵に立つ』も『よこがお』も深田監督から脚本をいただいた段階で“素晴らしい映画になるな”と鳥肌が立ったことを思い出しましたし、そんな賞がいただけるように導いてくれた監督に感謝しています。ただ実は、このコロナ禍で授賞式が中止になってしまいまして、立派な賞状を宅急便のお兄さんからいただいたのは少し残念でした」と笑顔で語りました。
オープニング作品に選出された『アンダードッグ』からは、武正晴監督、北村匠海、瀧内公美、脚本家の足立紳、佐藤現プロデューサーが登場。主演の森山未來は、大阪で舞台公演中のため、リモートでの参加となりました。ボクシング未経験だった森山と北村は役作りのために1年以上かけてトレーニングを行ったそうで、そのことについて北村匠海は、「格闘技をやったことは人生で一度もなかったのですが、格闘技を見ることは好きだったので、お話をいただいた時は嬉しかったです。リングに上がれる機会を逃すまいと出演を決めました」と語り、森山未來は「ボクサー役を演じるまでは、憎くもない相手を殴ったり、殴られなくてはいけないボクシングがよくわからなかったが、練習の最中にトレーナーに殴られた時に自分の中でアドレナリンが出る感覚があり、ボクシングというものに取り憑かれてしまう人の気持ちが理解できました」と撮影を振り返りました。
武監督は、「ボクシングを演出するのは難しかったです。この手の映画はキャストが本当に重要で、森山さんや北村さんをキャスティングできたからこそ良い作品ができました。キャストは皆全身全霊をかけて演じてくれました。今年の1〜2月に撮影をし、世界が大変な時期になっているなか、編集作業を進め、今年中に公開を迎えます。困難に打ち勝った作品のようでとても感慨深いです」と作品への愛を語りました。そして最後の挨拶として、武監督は「非常に意義深い作品でこうやって映画祭に呼んでいただき、非常に光栄に思っています。こういう場所でいろんな映画人達ともっともっと映画の話をして、次の企画を考えていきたいと思います。映画祭とはそういう場所であって欲しいと思うので、ぜひ映画祭の中で皆さんもいろいろな交流を進めていただきたいと思っています。本当にこういう場を与えていただけると、“やっぱり(映画製作を)やめられないな”と思います」と熱いメッセージを残し、イベントを締めくくりました。
東京国際映画祭は11月9日まで開催です。会期中の上映作品の鑑賞方法などは公式サイトにてご確認ください!
<第33回東京国際映画祭>
開催期間:2020年10月31日(土)~11月9日(月)
会場: 六本木ヒルズ、EXシアター六本木、東京ミッドタウン日比谷、日比谷ステップ広場ほか
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