映画『太陽の家』記者会見:長渕剛、飯島直子、山口まゆ、潤浩(ゆんほ)、広末涼子、瑛太、権野元監督
アーティストとして常に第一線で活躍してきた長渕剛。俳優としては、テレビドラマ『家族ゲーム』(1983年/TBS)、『親子ゲーム』(1986年/TBS)、『とんぼ』(1988年/TBS)や『しゃぼん玉』(1991年/フジテレビ)、映画主演作『オルゴール』(1989年)、『ウォータームーン』(1989年)、『英二』(1999年)など、1980年代〜1990年代を中心にヒット作を生み出してきました。そんな長渕剛が20年ぶりに俳優として映画に主演するということで、注目されている本作の記者会見が、2019年4月25日に行われました。長渕剛と瑛太だけ、劇中の衣装を着用して登場。
エンタメ界のレジェンド、長渕剛との共演について、感想を聞かれた広末は、「ほんとに長渕さんと共演するなんて、小さい頃の自分は想像していなかったので、本当に光栄です。現場にいてもワクワクしています。お芝居の中の信吾さん(長渕剛が演じる役の名前)と、時々垣間見える長渕剛さんが出てくるところ、その何とも言えないライブ感を味わわせて頂いてます。今メディアでは、家族でも手をあげちゃダメとか、ジェンダーレスだから男らしくって言っちゃダメとか、あれはダメ、これはダメと、いろいろなことがあるなかで、そういうのを取っ払って、熱くしつこく恩着せがましいぐらいの信吾さんの情熱で、綺麗事じゃない家族の愛情を伝えてくれるような気がします」と、長渕を絶賛しました。
続いて瑛太は、「僕自身、小学生の頃から長渕剛さんの映画や音楽に触れて、僕はその剛さんの生き様に小学生ながらすごく強烈な印象を受けました。そこからギターを覚え、剛さんの曲を歌い、そんな生活を今まで続けてきて、どんなに苦しい時も、弱い自分が出てきた時も、剛さんの曲に支えられて、やっぱり這い上がらなくちゃいけないんだっていうところでずっと生活してきました。2年前くらいに剛さんと実際にお会いすることができて、そこからたまに食事とかトレーニングを一緒にさせて頂いてるんですけど、長渕剛さんの世間的なイメージとか、僕が抱いていたイメージと合致しているところももちろんあります。でも、それよりも自分が求めている…、僕の父親は亡くなったんですけど、父も鹿児島の人で、剛さんと会うとすごく父親ってこういう人であって欲しいっていう、強く、優しく、いつも笑ってる、そういったところを感じます。現場に入ってからも、信吾というキャラクターを演じるために、アイデアとか僕とのディスカッションとか、すごくそういった取り組みで、より台本は立体的になっていくというか。ドキドキする部分もあるんですけど、お芝居をする、映画を作っていくという作業の上で、すごく楽しい毎日を過ごさせてもらってます」とコメント。司会から「共演できて、ある意味、感無量的な?」という言葉が出ると、「そうですね。もう今泣きそうになっちゃって」と、感動を露わにしました。
その瑛太の様子を受けて、司会から「どうですか?」と振られると、長渕は「どこからどこまでが芝居か本気かわからないんだけど(笑)。僕は30代、40代は迷走の日々だったんです。迷走の中で見つけ出すものって、端から見たらわからないくらいに苦しいことだったり、悩み抜いたりしてるんですね。その渦中に瑛太がいて、(若い人達を見ると)僕はどこかであの時の自分を回顧するんですね。皆さんやっぱり1つの台本にいろんな思いと情熱と愛をいっぱい抱いてこられるんですよ。でも感情って台本通りにはいかないんです。そこに何かリアリティがあって、その毎日の連続で、もちろん微笑むこともそうだし、叱ることもそうだし、怒ることもそうなんだけど、役者さんがそれぞれのプロ根性で、この台本をいかに立体的に仕上げていくかというところに情熱と愛がある。もちろんコンサートもそうなんですけど、映画っていうのは共同芸術でね。毎日毎日共演者の方々と、本当のファミリー、ある種の家族愛に包まれながら、約1ヶ月間過ごさせてもらってます。実は人知れず待ち時間に、“今の良かったな〜。俺の実人生にもこういうこともうちょっとあるかな〜”って思いながら、ちょっと涙が出たりね。昔の父母を思い出したり、妻や子どものことを思い出したり、そういうんでね、涙がやばいってぐらい出てくるのね。こんなに愛って、真綿でくるむようにデリケートで優しくてフワフワしてて、掴みどころがないんだけど、だからこそギュ〜ッと掴まなきゃいけないって、そんな思いで毎日現場に行かせてもらってます。幸せです」と熱く語りました。
妻役を演じた飯島は、「何てことのないシーンだったんですけど、それが長渕さんが引き出しをたくさん持ってらっしゃるので、いろんなアイデアを出して頂いて、“あ!こんな素敵なシーンになったんだ”っていうことが結構ありました。あの時初めて、夫婦なんだなと思いました」と振り返ると、長渕は飯島に頬をひっぱたかれるシーンについて語り始めました。「僕をひっぱたくシーンがあったんですよ。朝早く。普通、スイングがここから(身振りで程度を表現しながら)くるじゃないですか。でもね、こう…(飯島はもっとスイングが大きかったことを示すジェスチャーをしました)。1回目NGで、2発目は、来るのはわかってるし痛くないんだけど、人間の防衛本能でね、手前で目をつむっちゃったんです。次の3発目は思いっきりヒットしましたね」と、撮影秘話を明かしました。
まだ撮影中の本作ですが、登壇者の会話から、とても温かい作品に仕上がりそうだなと伝わってきましたが、最後に権野監督は「今の時代のどこか普遍的ではあるけど、新しい家族の形が見えるような映画になると良いなと、まだまだ絶賛撮影しているところです。すごく良いものがお届けできると思うので、よろしくお願いします」と挨拶。長渕は「たくさん泣いて、たくさん笑って、観終わった後に誰かの手を繋ぎたくなるような、そんな気分になってくれれば良いなと思います。そんな映画です」と締めました。登壇中に長渕がうっかりストーリーをネタバレしそうになり、権野監督が慌てる様子もありましたが(笑)、どんな作品になるのかとても楽しみですね。
映画『太陽の家』記者会見:2019年4月25日取材 PHOTO&TEXT by Myson
『太陽の家』
2020年、全国公開
配給:REGENTS
公式サイト 映画批評&デート向き映画判定
©2019映画「太陽の家」製作委員会