今までのご当地映画とは違う画期的な映画製作のあり方を提唱した『桜田門外ノ変』。今回は、企画:橘川栄作氏にインタビューをしてきました。橘川氏が語った印象的な言葉をピックアップし、ご紹介します。
『桜田門外ノ変』
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今回の映画の橘川さんの役割は、企画を立ち上げて、仲間を集め、組織を作り、映画会社との交渉から何からと最初から最後まで映画作りを引っ張り、支えること。企画というポジションを超えた活躍ぶりに東映の方に寄れば総合プロデューサーと言われていたそうです。そんな橘川さんが地域をまとめたり、窮地を乗り越えた背景のお話には、映画作りはもとより、私たちの日常においても大事だなと思える、考え方が伺えました。
クランクインになってからお金が足りないという窮地に立たされたときに、橘川さんはこう思ったそうです。
行くも地獄、引くも地獄という状況のなか、普通ならやめるところを、「地域の人との約束がある」「そこを覚悟して始めたわけだから」という思いもあり、諦めませんでした。恐怖も感じたそうです。それに準備が着々と進んでいるにも関わらず、「本当にやるの?」とか、「何?“桜田門”終わっちゃったんだって?」って何人にも言われたそうです。でもやめるという選択肢はなかったと言います。そういう周囲の雰囲気が変わり始めたのは何がきっかけだったのか?ということについても、大変印象深いお話がありました。
プロのプロデューサーが3年やって集まらなかったのに、1ヶ月で資金を集めたという橘川さん。こういう裏側で起こった奇跡も映画的というかドラマチックですね。それにしても、一生懸命な姿に周囲が動かされたということに感動しました。こういうことって、私たちの日常でも重要だなと思いました。
上記は、「今、子供たちの教育の現場では、昔話にしても残酷な要素を削って伝えるというようなこともある」という現実から考えて、本作でリアルに描かれている残酷なシーンについて子供たちにどんな形で受け取って欲しいかを訪ねたときの答えです。目で見て、感じて、考えて、きちんと自分で判断する…ということの大事さを私も大人ながらに感じました。ただ「残酷なものが悪影響」と言うのではなく、受け取る側がきちんと判断できるようになるのが、理想ですね。映倫の問題とは別に、これから子供たちが成長していくなかでいろいろなものに触れていく上で大事なことだと思いました。
今回のような活動を達成させる1番のポイントを聞いたときに橘川さんが答えられたことです。橘川さんに寄れば、「1番大事なのは何かをやろうとしているキーパーソンと、それを助けるシステム。“あいつがやるから邪魔してやろう”っていう人もいるかも知れません。でも、そういう活動を応援する体制というか支えてくれる周囲の温かい雰囲気が大事だと思います。1人じゃ絶対できないですから」と語ってくれました。これって、私たちが日常で何かをやろうとするとき、何事にも通じることだなとお話を聞きながら実感しました。
日本を思う…そう言う感覚がある人は今の時代どれだけいるだろうと考えてしまいました。自分にも欠けていると思います。“日本のため”とまでは言わなくても、現代は、私心を捨てて皆のためにという思いを持って行動ができる人間が少なくなっているような気もします。とても純粋な思いで国のために戦った幕末の志士たちの思い、映画で観ると心に刺さります。ぜひ、歴史物は難しいなんて思わずに、多くの女性にも観て欲しいです。
2010.8.11(取材) TEXT by Myson