フランスで大ヒットを記録した国際結婚を巡るコメディ映画『最高の花婿』のフィリップ・ドゥ・ショーヴロン監督にインタビューさせて頂きました。監督自身、今年国際結婚されるという嬉しいお話もあったのですが、そんな監督が国際結婚についてどう感じているのか、違いを受け入れる秘訣などを聞いてみました。
PROFILE
1965年11月15日フランス、パリ生まれ。代々続く貴族の家柄で、パリ高等映画学校(ESEC)で学び、1989年にエマニュエル・シルヴェストルと共に製作した短編“Gros”で注目を集める。その後、脚本家として活動するようになり、1995年のベルナール・ノーエル監督作『ボクサー/最後の挑戦』で脚本家として本格デビュー。さらに1999年には、“Les Parasites”で監督デビューを果たす。その後も監督と脚本家の仕事を両立しながら活躍し、2011年の “L’Élève Ducobu”では、スマッシュヒットを記録。翌年には続編の“Les Vacances de Ducobu”を発表し、一躍有名になる。『最高の花婿』では、フランス映画史上に残る大ヒットを記録し、リュミエール賞のオリジナル脚本賞を受賞した。
シャミ:
国際結婚をする娘達と、同じ人種、宗教の相手との結婚を望む両親との対比がすごくおもしろかったです。深刻に描いたらとことん暗くなってしまいそうなテーマをコメディとして描いていることにより、親近感の湧く作品だったのですが、何か意識したことなどありますか?
フィリップ・ドゥ・ショーヴロン監督:
喜劇なのでちょっと誇張している部分もありますが、すべて現実をベースにしています。喜劇に突拍子もないことを入れてしまうと、観客は付いてこられなくなってしまうので、現実的であることを大切にして作りました。
シャミ:
本作は4人娘が皆外国人と結婚するというお話でしたが、監督がもしお父さんの立場で、娘が皆国際結婚だったらいかがですか?
フィリップ・ドゥ・ショーヴロン監督:
娘が幸せだって言うならもちろん受け入れますよ。しかも相手の男性が感じの良い人だったら、さらに嬉しいです。本作には異文化、異宗教のお婿さん達が登場しましたが、同じ人種だったとしても、ちょっとバカっぽかったり、感じが良くなければ反対することもあると思います。でも娘が彼を好きで幸せだって言うならオッケーするでしょうね。
シャミ:
では監督にとって最高の花婿さんはどんな人ですか?
フィリップ・ドゥ・ショーヴロン監督:
この作品に登場するお婿さん4人を足して4で割ったような人ですね(笑)。見た目は関係なく、とにかく感じが良くて、ポジティブな人が良いです。
シャミ:
内面重視ということですね!国際結婚じゃなくても、お婿さんやお嫁さんが家族に加わることで、何かしら家族に変化が起こると思うのですが、そういった変化について監督はどう捉えていますか?
フィリップ・ドゥ・ショーヴロン監督:
あまり変わろうと意識しなくても良いと思います。友人のように家族の新しいメンバーに接することが大切で、無理をしてはいけません。自然にすることが一番です。
シャミ:
なるほど〜。異人種でなくても、人同士には必ず違いがありますが、違いを受け入れることの大切さはどんなことだと思いますか?
フィリップ・ドゥ・ショーヴロン監督:
慣れが大切な気がします。この映画に登場する両親世代だと、それほど異文化、異人種と接しない時代に育ってきているので、すごく抵抗を感じていますが、娘達の世代だと、外国人も同じように学校に通っていて、何の違和感もなく恋に落ちることができるんです。それは今のフランスにも同じことが言えます。
シャミ:
日本では、外国の方と同じ学校に通うといった文化がまだまだないので、フランスの若い世代スタイルはすごく参考になります。では、監督が本作で一番共感したキャラクターは誰ですか?
フィリップ・ドゥ・ショーヴロン監督:
それぞれ良いキャラクターをしているので迷いますね。でもコートジボワールのお父さんが一番共感できたかも知れません。彼は思ったことをすごく正直に言っていて、あれだけストレートに言えたら良いなと憧れる部分があります。
シャミ:
監督自身は普段あまりストレートに物事を言わないタイプですか?
フィリップ・ドゥ・ショーヴロン監督:
本当のことを正直に言ったらダメな社会ですからね(笑)。でもできるだけ思っていることを言うようにしています。ただイライラしているときだけは、言い過ぎてしまうのであまり喋らない方が良いなと思っています。コートジボワールのお父さんの場合は、怒っているときでも全部言っちゃうんですよね。あれは本当に羨ましいです(笑)。
シャミ:
すごくインパクトのある楽しいキャラクターですよね。私も大好きです。監督とお話をしているとすごく楽しくポジティブな印象なのですが、ポジティブな気持ちでいることの秘訣はありますか?
フィリップ・ドゥ・ショーヴロン監督:
寝起きの僕を知らないからそんなことが言えるんですよ(笑)。実はそんなにポジティブではなく、この世界は不安に満ちていると思っています。でも自分が生きている世界が少しでも楽しくなるように努力しています。
シャミ:
何か心がけていることなどありますか?
フィリップ・ドゥ・ショーヴロン監督:
やっぱり自分の作品を通して、皆に笑ってもらうことですね!
2016年2月3日取材&TEXT by Shamy
2016年3月19日よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開
監督:フィリップ・ドゥ・ショーヴロン
出演:クリスチャン・クラヴィエ/シャンタル・ロビー/アリ・アビタン/メディ・サドゥアン/フレッド・チョウ/エロディー・フォンタン
配給:セテラ・インターナショナル
ヴェルヌイユ夫妻は、3人の娘がアラブ人、ユダヤ人、中国人と次々と結婚し、宗教儀式から食事のルールまで、異文化への驚きと気遣いに疲れ果てていた。そんな時、最後の希望だった末娘が、自分達と同じカトリック教徒の男性と婚約したと聞き大喜び。しかし、夫妻の前に現れたのはコートジボワール出身の黒人青年で…。
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