名子役ジェイコブ・トレンブレイ、ジュリア・ロバーツ、オーウェン・ウィルソン出演の『ワンダー 君は太陽』。この度、“フェイシャル・ディファレンス”の少年と家族の奮闘を描いた本作を監督した、スティーヴン・チョボスキー監督にインタビューさせて頂きました。映画からもインタビューからも、大事なことをたくさん教えて頂き、感謝です!
PROFILE
1970年、アメリカのペンシルバニア生まれ。南カリフォルニア大学映画脚本学科卒業。1995年、“The Four Comers of Nowhere”で監督デビューし、同作はサンダンス映画祭でプレミア上映された。1999年に、小説「ウォールフラワー」を出版、ニューヨーク・タイムズのベストセラーリスト第1位となった。また、米国図書館協会が発表した“最も批判を受けた本”のリストに7回入り、2000〜2009年で、“最も禁書にすべきと批判を受けた本”の第10位に。そして2012年、『ウォールフラワー』として自身の手で映画化。脚本、監督、製作総指揮を務めた同作は、高い評価を獲得し、インディペンデント・スピリット賞をはじめ、数々の賞を受賞した。その他、映画版『RENT/レント』(2005)では脚本、TVシリーズ『ジェリコ〜閉ざされた街』(2006〜2008)では、製作総指揮と協同企画を担当。2017年脚本を手掛けた、ディズニー映画の実写版『美女と野獣』は批評家から絶賛され、興行的にも大成功をなし遂げた。ディズニーの実写映画“Charming”で監督・脚本と担当する予定。
ツイートマイソン:
今回、オギー以外の子ども達も、いろんなキャラクターがいましたが、オギーのキャラクターについて子ども達にどう理解を深めていったのですか?
スティーヴン・チョボスキー監督:
敢えてそういう話を子ども達にしていないんですよね。ホームルームのシーンでオギーを見た時の子ども達の表情は、メイクをしたジェイコブ君を初めて見たリアルな反応を捉えたかったからです。事前にそういうディスカッションをしてしまうと、やっぱりリアルライフからは離れてしまうと思ったんです。リアルライフで、我々は“フェイシャル・ディファレンス”という英語で言うのですが、顔が皆さんと違った方に会うと驚いてしまいます。映画も原作も、僕が良いなと思うのは、その“フェイシャル・ディファレンス”をノーマライズ、通常のものとして描いているところなんです。標準的なものとして受け止められるからこそ、受け入れられるということは、人類史を紐解いても言えると思うんですね。人種であれ性的嗜好であれ、性別、髪の色とか眼の色とか、それこそ髪型の違いまで、我々が通常のものとして感じれば受け入れられるようになるから、それはすごくパワフルなことだと思います。
マイソン:
あと、プロジェクトのコンサルタントとして、ナサニエル・ニューマン君(実在の“オギー”のような少年)がいらっしゃったと思うんですが、彼のアドバイスやアイデアが入ったシーンはありますか?
スティーヴン・チョボスキー監督:
今でも彼はジェイコブ君とは良い友人で、彼の演技にすごく影響を与えてくれました。僕もナサニエルにはいろいろと教えてもらいました。一つ会った時に気が付いたのは、ナサニエル君に話しかける方っていうのは、彼が患っているトリーチャーコリンズ症候群について聞いたり、手術について聞くことが多いということ。でも僕は、野球でも映画でも何でも、彼がどんなことをすると楽しいのかっていうのを聞きたかった。辛い手術のことを、他者が興味を持っているからと言って話し続けなければならないのは、やっぱり彼にとって辛いことでもあると思うし、それは考えたんですよね。彼にとってのリアルというものを。それって、例えば僕に「金髪で緑の眼の色ですね」っていうのをず〜っと話しかけているようなものだから。それに対してバランスを取るために、よりユーモアを、そして通常の子どもらしさみたいなものを見せようと考えました。
マイソン:
先ほども人それぞれの違いについてお話がありましたが、アメリカの今の状況で言うと、人種差別などいろいろな問題を感じるんですが、この作品が人に与える影響で、監督が期待していることは何でしょうか?
スティーヴン・チョボスキー監督:
若い方は特に、より親切心を持つこと、助けが必要な人がいれば手を差し伸べる、声を挙げるということです。だって想像してみてください。もしすべての子どもに誰か頼れる人がいたとすれば、外の世界と向き合う時、相対する時、より装甲を持つことになりますよね。
スティーヴン・チョボスキー監督:
一番の思い出になっているのは、アメリカのプレミアの夜、映画がこれからどうなるかっていう時、 “フェイシャル・ディファレンス”の11歳の女の子が「これが私の一番お気に入りの作品になりました!」って言ってくれたことです。それは本当に心から嬉しかった。それからこれは直接聞いたわけではないけれど、アメリカの政治家が機内で自分のスタッフと一緒にご覧になり、凄く感動し、自分の政党ともし意見が合わなくなったら、ちゃんとそう言おうって決意されたっていうことも記憶に残っていますね。
−−−劇中で好きなセリフは?−−
スティーヴン・チョボスキー監督:
「正しさと親切心だったら親切であることを選ぶ」です。ウェイン・ダイアーという方が残した言葉なんですが、この映画を作ってから、自分もそれを自分の人生に応用してきました。そしたら自分の人生がより良いものになりました。でも、フラストレーションを感じる瞬間は僕だってあるわけです。レストランでオーダーして違うものが出てきたとか、交通状況とかに、イラッとした時に妻が「“ワンダー”の監督でしょう?覚えてるあの格言!」って(笑)。「我慢我慢、親切な心を!」ってなります(笑)。
2018年5月30日取材&TEXT by Myson
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2018年6月15日より全国公開
監督・脚本:スティーヴン・チョボスキー
出演:ジュリア・ロバーツ/オーウェン・ウィルソン/ジェイコブ・トレンブレイ/イザベラ・ヴィドヴィッチ/ダヴィード・ディグス/マンディ・パティンキン/ダニエル・ローズ・ラッセル/ナジ・ジーター
配給:キノフィルムズ、木下グループ
オギーは、普通の男の子。彼は生まれつき人と違う顔を持ち、幼い頃から母と一緒に自宅学習をしてきたが、小学5年生になり、初めて学校に通うことに。だが、学校ではジロジロ顔を見られ、皆近寄ってこない。それでも負けずに学校に通っていたオギーは、やがて徐々に周囲の人達を変えていく…。
公式サイト 映画批評&デート向き映画判定
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