鉄拳(お笑い芸人)が2012年に発表したパラパラ漫画が原作で、昭和から平成に時代が大きく移り変わるなかでの1組の夫婦関係が描かれた映画『振り子』。今回は、本作で夫婦役を演じた中村獅童さんと小西真奈美さんにインタビュー。夫婦のバランスは、「信頼関係が大切」だと語る中村さん、「お互いが日々感謝し合うことだ」と語る小西さんに、男女それぞれの目線で夫婦談義を聞かせて頂きました!
PROFILE
中村獅童
1972年9月14日、東京都生まれ。日本大学芸術学部演劇学科出身。8歳で歌舞伎座にて初舞台を踏み、二代目中村獅童を襲名。2002年、映画『ピンポン』で数多くの新人賞を総なめにし、その後『いま、会いにゆきます』『レッドクリフ』『銀の匙 Silver Spoon』、NHK大河ドラマ『八重の桜』など話題作に出演。2015年公開の映画『振り子』では、夫の大介役を演じ、第6回沖縄国際映画祭主演男優賞を受賞。
小西真奈美
1978年10月27日、鹿児島県生まれ。1998年につかこうへい演出の舞台『寝盗られ宗介』でデビュー。2002年、映画『阿弥陀堂だより』でブルーリボン賞新人賞、日本アカデミー賞新人俳優賞など多数受賞。そのほか代表作に、映画『のんちゃんのり弁』、ドラマ『小児救命』『Nのために』、舞台は野田英樹演出「走れメロス」 堤幸彦演出「悼む人」など。2015年公開の映画『振り子』では、妻のサキ役を演じ、第6回沖縄国際映画祭主演女優賞を受賞。
監督・脚本:竹永典弘
原作:鉄拳
中村獅童 小西真奈美
石田卓也 清水富美加
板尾創路 笛木優子 松井珠理奈(SKE48/AKB48) 鈴木亮平 中尾明慶 研ナオコ 小松政夫 ダイアモンド☆ユカイ 武井壮 黒田アーサー 中野公美子 サヘル・ローズ ニコラス・ペタス 齊藤ジョニー(Goosehouse) 長原成樹 藤田彩華
山本耕史(特別出演) 武田鉄矢(特別出演)
配給:よしもとクリエイティブ・エージェンシー
八百屋で下宿している高校生の大介は、不良グループに絡まれていたサキを助ける。大介に一目惚れした天真爛漫なサキは熱烈なアタックを開始し、始めは調子が狂いっぱなしの大介も、いつしか彼女に心を開くようになっていた。その後夫婦となった2人は大介の夢であったバイク屋を経営しながら暮らしていたが、ある日バイク屋が倒産。家族の歯車が狂い始め…。
公式サイト 映画批評&デート向き映画判定
© 2014 「振り子」製作委員会
シャミ:
大介とサキそれぞれを演じてみて一番共感できたポイントと、ご自身に似ていると思ったところを教えてください。
小西真奈美さん:
サキに共感できたのは、何があっても逃げないところですね。似ているなと思ったのは、あんまり深く追求しないところとか。たぶん彼女も苦しんだり悩んだりすることもあるんでしょうけど、どこかで「まあ、大さんもいろいろ考えているんだろうな」とか、「今日は天気が良いから、とりあえず美味しいものでも食べよう」とか、なんかそういう考え方が似ている気がします。
中村獅童さん:
大介は、不器用な人ですよね。でも人間味が溢れているし、失敗もするけどやっぱり正直者で夢を追いかけてっていう人柄に共感できました。自分と似ているところは…、無いですね(笑)。役を演じるときにあまり自分と比べませんが、共感できるってことは、どこか共通するところがあるのかも知れませんね。
シャミ:
大介はサキが倒れたときに、サキが今までずっと支え続けてくれたことに気づいて、気持ちを切り替えました。でももしそういう大きなきっかけがない場合に男性がやる気を出す方法って何かあると思いますか?
中村獅童さん:
喜びを分かち合える家族だと、やっぱり頑張り甲斐がありますね。自分の頑張りが奥さんの喜びでもあると良いなって思いますし、それが家族なんだと思います。大介はサキが倒れて初めて妻の存在の大きさに気づくんですけど、やっぱり家族の支えや、家族の喜びとか笑顔っていうのは明日への活力に繋がると思います。
シャミ:
ありがとうございます。では、小西さんにお伺いします。サキは、大介がいろいろな失敗を重ねてダメなときがあってもいつも笑顔で励まして応援し続けていましたが、小西さんご自身は男性に、「これをされたらもう別れる!」って見切りをつけるポイントはどんなところですか?
小西真奈美さん:
難しい質問ですね〜(笑)。
中村獅童さん:
例えば、相手に浮気されてもそのまま夫婦生活を続けるのか、別れるのかみたいなところだよね。小西さん的にどうなのか気になるね(笑)。
小西真奈美さん:
もし妻である自分じゃなくて、浮気相手の方が大好きですって言われたら、「じゃあ、しょうがないから別れましょう」ってなりますね。
中村獅童さん:
じゃあその旦那がすごい人で、「あっちは浮気、君は本気だから我慢して」って言われたらどうするの?
小西真奈美さん:
ん〜、結婚しているんですもんね。なら乗り越えるかな。
シャミ:
それは、すごい!!じゃあ「これは本当にダメ、もう乗り越えられない」って思うのはどんなときですか?
小西真奈美さん:
自分が存在しないみたいにされるのは嫌ですね。例えば、挨拶もないとか。大さんの場合は、嬉しいことも悲しいことも「おい、サキ聞いてくれ!」って言ってくれるけど、妻がいることが当たり前になっちゃって、会話もそんなにないとか。例えば「おい、お茶」って言われて、お茶を出しても何にもないとか、一緒にいない感じにされるのはちょっと…。
中村獅童さん:
でもさ、それって悪いことばかりじゃないんじゃない?それでも一緒にいるっていうのが良いんだよ。時を経たときに空気みたいな自然な関係でさ。もちろんお互いの存在価値を完全にシャットアウトして、いるもいないも一緒みたいじゃあまりにも寂しいけどね。
小西真奈美さん:
そっか〜、おじいちゃんおばあちゃんになったときにそういう関係性なら良いかも。でも何かを一緒に乗り越えたり、向き合うべきときにそれができないのは辛いですよね。日々向き合っていたいわけじゃなくて、個々がそれぞれ趣味とか好きなことをしたり、仕事を頑張ったりすれば良いと思うけど、何か大事なことがあったときに一緒に乗り越えられないとなると無理かも知れませんね。
中村獅童さん:
なんか今の話をしていて思ったけど、大介に似ているところがわかってきた(笑)。例えば、自分が趣味で始めたことを「お前もやれ!絶対に楽しいから」とか言ってすぐに薦めちゃうところとか(笑)。大介も何か良いことがあると「おい、サキ!」って言って、バンザイして「お前もやれ」とか言っていたしね。
シャミ:
大介は何かあるとすぐに報告してサキと共有していましたよね。そういう関係って素敵ですよね。
小西真奈美さん:
そうやって共有してくれる方が絶対に良いと思う!せっかく一緒にいるんだし一人で噛みしめずに共有してくれた方が嬉しいですよね。
シャミ:
それが喜びを分かち合うっていうことですね!では最後にトーキョー女子映画部のユーザーに向けて、一言ずつメッセージをお願いします。
小西真奈美さん:
私はこの映画を通して、夫婦ってやっぱり良いなって思いましたし、続けていくことの大切さを感じました。夫婦を続けていくことは、苦楽をいっぱい共にするけど、振り返ると良いことがいっぱい思い起こされるんですよね。それに夫婦に限らず、何かを続けていくことってすごくシンプルで初歩的なことだけど、すごく大事だし純粋に良いなって思います。皆さんいろいろなことに葛藤したり、目新しいものに興味がいったり、何も探せなかったりする方もいると思いますが、ぜひこの映画を観て何か心に響くところがあれば嬉しいです。
中村獅童さん:
女性もバリバリ働く時代になって、皆さん忙しい日々を過ごしていると思うんですが、ふとした瞬間にこの作品と出会うことによって、優しい気持ちになったり、大切な人のことを思い返したりできると思います。普段一生懸命に過ごしていると忘れがちな大切な人のぬくもりや人とのふれあいを思い出して、優しい気持ちになって頂けたらと思います。
2015.2.24 取材&TEXT by Shamy