映画のお仕事は、監督・女優以外にも数え切れないほどの種類があります。プロデューサー、照明、音響、衣装、メイク、宣伝、劇場営業…。映画を作る現場から、映画をユーザーに届けるところまで、さまざまな現場で働く女性にお会いする機会があれば、お話を聞いて、現場の状況などを掲載できればと思います。
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<PROFILE>
1995年3月4日フランス、オーヴェルニュ生まれ。聴覚にハンディキャップを抱える。フランスのサヴォワにある国立聾学校の寄宿生で、バカロレア(大学入学資格)を取得。本作の監督ジャン=ピエール・アメリスによって見出され、映画デビューを果たす。
シャミ:
資料にはオーディションのことは気にかけておらず、別の機会に監督から声をかけられて今回の役が決まったということでしたが、もともと女優のお仕事には興味がなかったのでしょうか?実際に演じてみた感想も教えてください。
アリアーナさん:
最初は、キャスティングオーディションに応募をするのを忘れていたほどでした。でも食堂でごはんを食べていたところを監督に見つけられ、映画の内容を聞いて、すごくおもしろそうだなって思ったんです。それで本当に私が起用されることになりました。準備が始まってからは、手話通訳の方を介して監督やイザベル・カレ(マルグリット役)さんとお話をさせて頂いて、シナリオをどんどん読み込んでいき、マリーという人物を造形していきました。今回の経験は、本当に忘れられない素晴らしい思い出になっています。
シャミ:
演じてみて難しかったところ、やりがいを感じたところはどんなところですか?
アリアーナさん:
ほとんどのシーンにやりがいを感じていました。でも2つだけ大変だったシーンがあります。1つは、学院の大食堂で女の子たちと一緒に食事をするシーンで、あのシーンは本当に、ろうのエキストラの子たちがたくさんいました。なかには全く慣れていなくてビクビクしているような子もて、スタッフも通訳さんもたくさんいたのですが、大きな食堂のなかはかなり混乱状態でした。ちょっとしたことが1つでも上手くいかないと、もう1テイクとなるのでなかなか撮影が進まず本当に大変でした。私自身もあのシーンは、暴れなければならないシーンで、常にエネルギーを充電しておかないといけなかったのでテイクを重ねるのはとても大変でした。もう1つのシーンは、ラストシーンです。イザベルさんなしの一人演技のシーンだったので心細かったですし、一人で演技をすることはとても大変でした。でもその2つのシーンを除けば楽しんで演じられました。
シャミ:
なるほど〜。今回の役柄は聴覚障がいだけでなく、目も不自由な役柄だったのですが、マリアーナさんご自身とマリーとで似ているところや共感されたところはありますか?
マリアーナさん:
やっぱりコミュニケーションが取りづらいというのは、ろうの私にとっても、盲目でろうあの彼女にとっても同じバリアを感じていたと思います。社会になかなか受け入れてもらえないということは日常的にあるのですが、やはりそこにフラストレーションが溜まるんですよね。なので社会に同化することの難しさという部分では、彼女にとても共感できました。
シャミ:
マリーは学院に来て最初の頃は誰にも心を開くことができず、マルグリットも8ヶ月かけてやっとマリーの心を開いていったのですが、アリアーナさんご自身はマリーがそれまでに抱えていたものがどんなものだったと思いますか?
アリアーナさん:
マリーはもともとコミュニケーションができない人で、しかもすごく強い性格を持っているんですよね。だからなかなか人の言いなりにはなりたくなくて、強く反発しているんです。やはりコミュニケーションができないことと、両親が側にいなくて触れられないことに、すごくイラついていて欲求不満状態だったんだと思います。でも、マルグリットがマリーに触れたことで、心を閉ざしていたマリーが少しずつマルグリットを信頼し始めて、慣れていくんですよね。そうやって2人の間に絆が生まれ、マリーの揺らいでいた気持ちが落ち着いて、次第にほかのみんなともコミュニケーションが可能になったんだと思います。
シャミ:
これからも女優として活躍していきたいですか?もし続けるとしたらどんな役柄をやってみたいですか?
アリアーナさん:
どんなシナリオかにも寄りますね(笑)。でもわりと柔軟にいろいろな役をやれると思いますよ。とっても活発なアクション映画のヒロインとか良いですね!
アリアーナさんは、これから本作をご覧になる人に向けて「あまり難しく考えないで、分け隔てなく生きることは簡単なんだとちょっと思いを改めてくれると嬉しいです」とも話していました。映画のなかでは暴れるシーンも多く、エネルギッシュにマリーを演じているアリアーナさん。その姿は初演技とは思えないほど素晴らしいですよ。ぜひご覧ください!
2015年4月22日取材&TEXT by Shamy2015年6月6日より全国順次公開
監督:ジャン=ピエール・アメリス
出演:イザベル・カレ/アリアーナ・リヴォアール
配給:スターサンズ、ドマ
聴覚障がいを持つ少女たちのための学院に、生まれつき目も耳も不自由なマリーがやって来る。修道女マルグリットは、彼女を一目見て自ら教育係を申し出る。マルグリットは、獰猛で野生児のようなマリーの教育に手こずるものの、何一つ知らないマリーに根気強く向き合う。次第に心を通わせるマリーとマルグリットだったが、マルグリットには死が刻々と迫っていて…。
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