映画のお仕事は、監督・女優以外にも数え切れないほどの種類があります。プロデューサー、照明、音響、衣装、メイク、宣伝、劇場営業…。映画を作る現場から、映画をユーザーに届けるところまで、さまざまな現場で働く女性にお会いする機会があれば、お話を聞いて、現場の状況などを掲載できればと思います。
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今回は、本作で初主演を果たした横澤夏子さんにインタビューをさせて頂きました。取材には劇中の衣装で応じてくださいましたが、すごくお似合いでした!今回の役柄が売れないお笑い芸人ということで、お笑い芸人さんとしての日頃のご苦労などについても聞いてみました。
<PROFILE>
横澤夏子(よこさわなつこ)
1990年7月20日生まれ。新潟県出身。NSC東京校15期生。2009年にヨシモト∞ホールで芸人としてデビュー。2016年、2017年には“R-1グランプリ ファイナリスト”に選出。女優業は、2014年にテレビドラマ『俺のダンディズム』でデビューした後、『重版出来!』『増山超能力師事務所』などのドラマに出演。映画『えちてつ物語〜わたし、故郷に帰ってきました。〜』では、映画初主演を飾った。
マイソン:
今回のアテンダント役がすごくお似合いでした!実際にできあがった本編をご覧になっていかがでしたか?
横澤夏子さん:
びっくりしました!「ずっと私、出てくるじゃん」って思いました(笑)。“えちてつ”もすごく可愛くて、どこを見てもポストカードにしたいような風景ばかりで、落ち着くし、心が洗われるようでした。
マイソン:
明るいシーンもあれば、緒形直人さんが演じるお兄さんとケンカをするシーンもあったのですが、難しかったシーンはありますか?
横澤夏子さん:
複雑な家族だというのを表現するシーンは、「自然な感じで」と言われたんですけど、セリフをどう言っても嫌味ったらしくなるし、「お局のほうが楽なんだけどな」と思いながら演じました(笑)。等身大で自然な感じで演じるのはすごく難しかったです。それこそ緒形さんとのケンカのシーンは、「え?緒形さん本当に怒ってるんじゃないのかな。どうしよう」みたいな感じでしたけど、カットがかかったらすごく優しくて。一つひとつがおもしろくて、楽しかったです。
マイソン:
緒形さんを含め名優の方々と共演されて、女優として刺激を受けたところはありましたか?
横澤夏子さん:
本当に皆さん、涙がすぐ出てきたりするのを見たりして、「すごーい!!本当に俳優さんってこうなんだ!」って思いました。俳優さんって想像以上に大変な職業で、その裏側を全部見られたというか、映画ってこうやって作るんだとか、台詞を覚えたり、役作りをされている姿が、本当に勉強になりました。
マイソン:
人の感情の中でも笑いを取るって一番難しそうですし、横澤さんはお笑い芸人さんだからこそ演技がお上手なんだなと思いました。
横澤夏子さん:
いやいやいや。お局OL以外の役を初めてやったというか(笑)、コント以外ではなかなかないので、私の妄想上だけでなく、ちゃんと実在する人のように演じるのは不思議な感じでした。
マイソン:
一方、役柄では芸人として上手くいかなくて挫折する役でしたが、演じていてどんな心境でしたか?
横澤夏子さん:
切ないですけど、結構1年に1回は大切な先輩とか同期が辞めちゃうし、この年齢になると転職をする友達もすごく多いんです。転職ってやっぱり考えたりするんですよね。でもこういう道もあるんだっていうのが知れたし、辞めた後の道もこんなに切り開けているというのが、疑似体験できて楽しかったです。
マイソン:
逆に芸人さんとして今まで続けてこられた理由は何でしょうか?
横澤夏子さん:
やっぱり一番はショッピングモールでキャーキャー言われることですね(笑)。
一同:
ハハハハハ!
横澤夏子さん:
ショッピングモールのライブってほとんどが無料じゃないですか。そこにたくさんの方が集まって盛り上がってくれることは、私の夢というか、自分のなかですごく嬉しいことなんです。
マイソン:
皆さんの反応が肌で感じられますもんね。あと結婚式のシーンで芸人だからって無茶ぶりされるとか、実際にすごくありそうだなって思いました。
横澤夏子さん:
すっごくありますよ!そういう時は笑顔で「吉本(所属事務所の略称)にお金を払ってください」って返したりしています(笑)。いつもどうやってそういう状況を避けようかって考えているんですけど、そういう状況が増える毎にだんだん避け方が上手くなるんです。でも最初のうちはただスベって、スベるために結婚式に行ってるんじゃないかって(笑)。本当、最近は何もやらないのが一番って思っています。でも何もやらないのに、結局ビンゴ大会とかで「当たっちゃった」とか言って、前に出て行って、また後悔するんですよ(笑)。その繰り返しですね。
マイソン:
アハハハハハ。やっぱり毎度大変なんですね。お話は変わりますが、この映画は過去に事故を起こしてしまった“えちぜん鉄道(えちてつ)”の実話にも絡めてあるようですが、制作する上で皆さんが配慮していたことなどはありますか?
横澤夏子さん:
今回、“えちてつ”さんが全面協力で、事故のことや、ここまで復活した経緯などもいろいろと教えてくださり、その懐の深さを感じました。普通ならあんまり言いたくないというか、隠したくなるところを、逆に安全面は今充分過ぎるほど配慮されていて、そこから信頼を得ていくってことで、“えちてつ”さんって、本当にすごいなと思いました。地元の方も事故のことを覚えているし、“えちてつ”の方も忘れていないし、だからこそ信頼できるっていうのを感じました。
マイソン:
それはすごいですね。すべて明かしても今はもう大丈夫という自信は頼もしいですね。それでは最後に、主人公がいろいろ悩みながら奮闘している映画だったので、同じようにいろいろ悩みながら頑張っている女性に向けて、一言お願いします。
横澤夏子さん:
本当に経験が解決してくれるというか、何かやる度にいろいろな感情が出てきたり、勉強ができて、いろいろな経験をしたほうが人生は得だなって思います。私もこの映画に出演させて頂いて、今回こういう職業があったと知って、福井県に行くのもそうですけど、行動力をもっと出したほうが良いなってすごく思いました。もちろん、女優さんっていう新しい仕事も職業体験のようで楽しかったんですけど、福井に行ったり、いろんな方との新しい出会いがあるのは、いつでも楽しい経験だなって思いました。
マイソン:
福井県に行って、おいしいものは食べましたか?
横澤夏子さん:
セイコガニがめちゃくちゃおいしかったです。それは本当に殿上人みたいな人じゃないと食べられないらしくて、大事に食べたのを覚えています。あとは、おろしそば。これは普通の民でも食べられるものらしいです(笑)。福井はおそばが有名って知らなかったのですが、すごくおいしかったです。
マイソン:
そうなんですね。福井に行ったら食べたいです。今日はありがとうございました!
2018年10月24日取材&TEXT by Myson
2018年11月23日より全国順次公開/福井県にて先行公開中
監督:児玉宜久
出演:横澤夏子/萩原みのり/山崎銀之丞/笹野高史/松原智恵子/緒形直人
配給:ギャガ
お笑い芸人になろうと上京した山咲いづみは、全く売れず、お笑いコンビ解散の危機に直面していた。そんな時、友人の結婚式で故郷に帰ってきたいづみは、ひょんなことからえちぜん鉄道のアテンダントにスカウトされ、試しに働いてみることに…。
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