映画のお仕事は、監督・女優以外にも数え切れないほどの種類があります。プロデューサー、照明、音響、衣装、メイク、宣伝、劇場営業…。映画を作る現場から、映画をユーザーに届けるところまで、さまざまな現場で働く女性にお会いする機会があれば、お話を聞いて、現場の状況などを掲載できればと思います。
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今回は『青の帰り道』主演の真野恵里菜さんに取材をさせて頂きました。撮影の途中でトラブルが起き、一時中断されていましたが、晴れて完成した本作。当時を振り返り、心境を話してくださいました。
<PROFILE>
真野恵里菜(まのえりな)
1991年4月11日、神奈川県生まれ。2009年に“ハロー!プロジェクト”よりソロ歌手としてメジャーデビュー。主な映画出演作は、『劇場版SPEC〜結〜』、『みんな!エスパーだよ!』『新宿スワン』、『orange-オレンジ-』『君と100回目の恋』『覆面系ノイズ』『不能犯』『坂道のアポロン』『BLEACH』などがある。ドラマでは『この世にたやすい仕事はない』『彼氏をローンで買いました』で主演したほか、『とと姉ちゃん』『逃げるは恥だが役に立つ』に出演。『青の帰り道』では、歌手を目指し苦悩する役を演じている。
マイソン:
結構感情の起伏が激しい役柄でしたが、苦労したシーンはありますか?
真野恵里菜さん:
やっぱりシリアスなシーンは緊張しました。お葬式のシーンだったり、キリがカナの家に帰ってきて2人で対峙するシーンも、感情の勝負というかセリフを言うのではなくいかに感情を剥き出すかだったので。でもこのメンバーは初共演の方もいたんですけど、何か不思議と芝居で通じるものがありました。お互いに認め合っていたんですよね。だから同じ方向を向いてひたすら作品づくりに励めたので、皆から感情をもらうことが多かったです。本当にちゃんと皆で活きてるシーンを作れたと思います。
マイソン:
現場ではどんな雰囲気だったんですか?
真野恵里菜さん:
和気あいあいとしていました。冒頭の自転車のシーンも結構長い距離を走ったんですよ。1カット撮ったらスタート地点に戻ってもう1度撮ったんですけど、戻る時は頑張ってこがなくて良いのに、私と横浜流星君で競争して、カナとリョウの役のままでした(笑)。それを見て森永悠希君が笑ってたり、もうこの世界観に皆入れてるなって思いました。
マイソン:
皆さん雰囲気と役が合っていたんですね。
真野恵里菜さん:
皆それぞれそのままでしたね。
ー2年前を振り返ってー
リンクするなって思ったのが、この作品もある日突然仲間を失って、毎日顔を合わせていた仲間と急に会えなくなって、2年前の夏は私達もこの作品のキャラクターと同じような感覚でした。それぞれの日常に戻るという実感がわかなくて、監督も「1〜2週間は外に出られなかった」っておっしゃっていたんですけど、皆そうだったんだって思いました。当時の私達の日常はこの作品を撮ることだったので、それがスポンと抜けてしまって、何が起こったんだろうって思いながら、テレビでの報道は観たくなかったですし、いろいろな方からいろいろな言葉を頂きましたが、誰を責める気もなく、ただ目の前の現実が受け止められないのと、作品を作り上げたいという思いがありました。皆が同じ気持ちで各事務所さんが「来年のスケジュールは空けておきます」って言ってくださって、スタッフさんも「できるだけ当時のスタッフが行くようにするね」って言ってくださったり、新たに協力してくださるスタッフさんもいました。同じメンバーで撮りたいっていう気持ちがあってもそうはいかない現実もあるし、ただこの作品をダメにしてしまったら、去ったメンバーは背負わないといけないものが増えてしまうので、私達がこの作品を作ることで、1つでも彼の心が報われたら嬉しいと思いました。プラス、この世界は厳しいという部分も含めて、私は作品を作りたいなって。仲間であり、ライバルであり、でも他人でもあるっていう、それが私達の仕事で、だからこそこういう出会いとか、作品に呼んで頂けたことをより一層大切にするべきだと気付かされました。当たり前のことがわかってなかったです。誰がいけなかったというのではなくて、絶対に皆「あの時この言葉をかけていたら」とか「もっと気にしていたら」って思っていたはずで、そういう思いがこの映画のキャラクターにもあるので、すごく繋がるなって思いました。皆さんにもそういう経験があると思うので、そこで共感してもらえたり、生きるヒントにしてもらったり、ホッとしてもらえたり、何かしら感情を与えられる作品になっていたらと思います。
マイソン:
私は映画を観る時に極力前情報を入れないのですが、本作は爽やかな雰囲気から始まって、後半のムードがガラッと変わってビックリしましたし、観終わってズドンと心にきました。
真野恵里菜さん:
お〜!私はその感想が1番嬉しいです。観ている方の期待を裏切りたいって思っているので。
マイソン:
どんな年齢層が観ても通じるものがありますよね。
真野恵里菜さん:
いろいろな観方ができるので、各年代の方から感想を聞きたいです。
マイソン:
アイドルから女優に転身して、いろいろな役を演じてこられましたが、心境の変化はありましたか?
真野恵里菜さん:
アイドルの時は可愛いという言葉が一番嬉しかったんですけど、常に完璧でいなきゃとかカッコ良い自分でいなきゃとか、こうしなくちゃいけないっていう概念が今はなくなって、すごく気持ちが楽ですね。今回のカナみたいな役も演じたりするので、辛いこと、悲しいこと、たまに怒ってしまうようなことも、いろいろと経験しておくべきだなって思います。そう考えるようになったら、いろいろなことが受け入れられるようになりました。辛い時期も「これは今だけじゃない。ここを乗り越えたら絶対に嬉しいことがあるから負けちゃいけない」とか、考え過ぎたらいけないって思うようになりました。
マイソン:
演技に活かせますもんね。
真野恵里菜さん:
そうですね。元々あまり感情を表に出すタイプではなかったんですよ。悔しいと思っても家に帰ってから1人で泣いたり、人前で感情を出すのが苦手だったんですけど、お芝居をすることによって、普段も楽しい、嬉しい、悲しい、辛い、苦しいっていう感情を出すようになりました。そしたらすごく楽になって、ストレスを感じることが少なくなりました。
マイソン:
なるほど〜。では、今後やってみたいキャラクターはありますか?
真野恵里菜さん:
主婦とか、少し落ち着いた役をやってみたいです。ご近所に住むお金持ちのいじわるな奥様とか、観ている方をイラッとさせる役をやりたいです(笑)。人の心を引っ掻き回すような役というか変わった役が好きで、「普段も性格が悪いんじゃないの?」って言われるくらいのほうが、ちゃんと役が生きたって思えます。
マイソン:
今回演じられたカナも後半はそんなタイプになってましたね!では最後に、 テーマソングの“たられば”に出てくる「もしも僕が天才だったら」という歌詞にちなんで、真野さんは何の天才になりたいですか?
真野恵里菜さん:
写真ですかね。すごく写真が好きで、お仕事上撮られるほうが多いんですけど、撮るほうが好きなんですよ。友達の笑った顔とか、景色と友達を撮ったりするのがすごく好きで、人の魅力だったり、食べ物や景色などを綺麗に写真に収める才能が欲しいなと思います。
マイソン:
ありがとうございました!
2018年12月7日より全国順次公開/PG-12
監督:藤井道人
出演:真野恵里菜/清水くるみ/横浜流星/森永悠希/戸塚純貴/秋月三佳/冨田佳輔/工藤夕貴/平田満
配給:NexTone/配給協力:ティ・ジョイ
仲良く高校を卒業したカナ、キリ、リョウ、タツオ、コウタ、マリコ、ユウキは、東京に出て夢を追いかけたり、地元に残って若くして家族を作ったり、それぞれの道を進んでいく。だが、卒業から3年ほど経った頃、彼らの人生に大きな壁が立ちはだかる。そして、仲間に起きた衝撃的な出来事に皆うちひしがれていく…。
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