この人と親子になりたくなかった…そんな境遇にいる方、いた方の気苦労は容易に計り知ることはできませんが、今回は血筋に関する映画のストーリーをもとに、血筋、親子についてお悩みの方に観て欲しい作品をご紹介します。
ツイート共喰い
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<遠馬の場合> |
性欲を抑えることを知らず、自分の好むやり方で女を抱く父。父のもとを離れた母は、遠馬に父の本性を話しています。そして、遠馬は父と自分と共に暮らす琴子も母と同じ目に遭っていることを知っています。遠馬が父に敵意をむき出しにしている様子は初めは伺えませんが、男としての父に対しては思うところがあるようです。彼を父として見ているときと、男として見ているときで思いが異なるのだと思います。 実際のところ、父と同じような衝動にかられる自分を抑えるのに必死な状況にも陥りますが、彼自身がそれを自覚していること、それを望んでいないことが彼にブレーキをかけています。そして彼を信じて制してくれる人間が周りにはいます。結局は選択するのは自分で、血筋と言えども人間なので考えてコントロールすることができるのです。もし、こういった場合に血筋を言い訳にするならば、本心ではそこに従いたいと思っているからなのかも知れませんね。 |
そして父になる
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<良多の場合> |
エリートの良多は冷たい親には見えませんが、息子に厳しく彼が自分と同じようにエリート道を進むよう育てていて、少しドライな部分を持っています。でも、息子がなんとなく自分に似ていないと感じていた良多は、6年間育ててきた子が他人の子どもだったことを知ると妙に納得してしまいます。だからといって息子を愛していなかったというのではないのです。彼は自分自身に自信があり、自分の血筋なら息子も自分のように優秀になれるはずだと思っているだけなのです。ただ、血筋だけの話で今まで育てた子どもを血の繋がった子どもと簡単に交換できる話ではありません。知らずに取り違えられた息子を育ててきた二つの親子がとる選択は、血筋だけではない親子の繋がりについて考えさせられます。どれだけ時間が経っても割り切ることはできないと思いますが、選択と決意次第でどんな親子でも幸せになれるのだと思わせてくれます。 |
血の繋がりがどうであれ、親子が相互に与える影響はとても強いものです。それが自分にとって良くない影響であるときはとても辛いですが、その境遇をどう活かすかは自分です。悪い親だったから子どもも悪いとは限らないし、その逆も同じことが言えます。簡単には逃れられない悩みだと思いますが、選ぶのはあなたです。
2013.9.9 TEXT by Myson