過去に辛い体験をすると、今後同じことが起こらないように、周囲から距離を置いたり、他人を頼ることをしなくなったり、防御策を取りたくなるもの。でも、傷付くことを避けることはできても、幸せになれるかは別の問題です。
ツイートハッピーエンドが書けるまで
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<両親のようになりたくないという恐怖> |
母の浮気現場を目撃してしまったサマンサ。その後母は家を出て、その男と再婚。3年も前に家を出た母を父はまだ帰ってくると信じている姿を見て、自分は恋愛で傷付きたくないと、真剣な交際をしようとしません。でも、1人の青年に出会うことで、徐々に彼女の心が開かれていきます。両親の恋愛は一番身近なお手本であるだけでなく、自分にも辛い影響を与えることがあるので、それを経験してしまうと恋愛に臆病になるのは当たり前です。ただ、自分も親と同じ道を歩むことになるとは限りません。親子とはいえ、別の人間。人と付き合うことで傷付くことは避けられません。でも、傷付いたあとにどうするかは、自分次第で決められます。傷付いたままで終わらないと決めたなら、きっとどんなことも乗り越えられるはず。軽い恋愛をして傷付くのを避けていても、それは自分をごまかしていることにしかなりません。 |
奇跡の2000マイル
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<独りになることへの恐怖> |
本作は1977年初頭に195日間かけて1人で砂漠2000マイルを横断したロビン・デヴィッドソンの実話をもとに映画化。幼くして母を亡くしたロビンは、心に何か抱えているようで、“たった1人で”砂漠を横断することにやけにこだわっています。死の可能性もある旅路を誰もが心配するなか、連絡の手段さえ持ちたくないというロビン。資金のためナショナル・ジオグラフィック(世界的に著名な写真雑誌)の支援を受けることになり、条件としてカメラマンが時折合流するのさえ渋々応じた彼女でしたが、あまりの過酷な旅を進むなかでいろいろな記憶、思いが込み上げてきて、彼女の心に変化を及ぼしていきます。何かを克服しようとしているのか、確かめようとしているのか…。ラクダと愛犬との旅の最後に、彼女の心はやっと“居場所”を見つけることができたのかも知れません。 |
辛い経験をしたら、次からはそれを避けようと思うのは人間の本能だと思います。そういう注意は必要だけれど、本来得られるべき幸せも一緒に葬り去るのはもったいないですよね。避けるだけでは解決にならないときもあります。傷付くことに慣れるのは難しいけれど、だんだんと強くなれる自分、経験を積むごとに学ぶ自分を信じて、怖がらずに幸せになりたいものです。
2015.6.8 TEXT by Myson