何を共犯しているのかはさておき、秘密を共有するという行為自体、ある種の絆を生むことはあります。ただ、その絆ができた経緯や個々の思惑によって、絆の強さは違うようです。
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<共犯で繋がれた絆> |
いじめられっ子、優等生、不良という全く異なるタイプの3人が、ある事件の現場を通りかかったことをきっかけに仲良くなり、周囲には内緒で会うようになるのですが、この関係は何で成り立っているのかがテーマになっています。また“共犯”は、一つのことについてだけではなく、いろいろな場面で“共犯”の意味が変わってくるのですが、そのときになぜ彼らは“共犯”するのかという動機が描かれています。全容がわかっている人間、知らない間に巻き込まれている人間…、とても切ない思いが共犯を招いたという真相が最後に語られます。共犯で繋がれた絆は、全員が同じ思惑であれば強いのかも知れませんが、そうでない場合はいつまでも繋いでおくのは難しそうです。 |
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<絆から生まれた共犯> |
本当の家族とのあいだでそれぞれに大きな問題を抱えていた森山家の面々は、ひょんな出会いから一緒に暮らすようになり、“家族”になっていきます。元の家族との生活では、生きることに絶望していた彼らは、やっと居場所を見つけ、たとえ血の繋がりが無くても本当の家族のように強く結ばれていきます。でも犯罪で生計を立てている時点で危険とはいつも隣りあわせ。窮地に追い込まれた彼らは、お互いを守ろうとするあまり共犯することになってしまいます。一緒に悪事をやることで生まれた絆ではなく、もともと絆があった彼らがある出来事を共犯してしまうのですが、このことで彼らの絆が逆に壊れてしまうのかどうかは結末でわかります。そして、家族を守るためだからこそとった父の決断に、家族としての本質が現れています。 |
共犯の種類にもよると思いますが、それがネガティブなものの場合、共犯することで生まれるのは、誰かが約束、ルールを破ることで自分が何らかの罰にあったり、危険にさらされるという恐怖心です。日常だと、一緒に誰かをいじめたり、悪口を言ったりするのも共犯の一種だと思いますが、そんな絆で結ばれて嬉しいのかどうか、客観的に考えればすぐに答えが出るはずです。そんな恐怖心で結ばれた絆は、一時的に効力があっても強いとは言えませんよね。
2015.7.13 TEXT by Myson