罪を犯した時、許してくれる人がいれば、少しは救われるかも知れませんが、自分で自分を許せない事は、長く自分を苦しめます。今回は、そんな出来事に苦しむ主人公達の物語をご紹介します。
ツイートマンチェスター・バイ・ザ・シー
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<償い方がわからない、償う相手がもういない> |
兄が亡くなり、遺書で甥の後見人に使命されたリー。便利屋をやる彼は、どこでも仕事をできるはずですが、故郷に帰ることを頑なに拒みます。彼には目を背けたくなる過去があり、故郷に戻りたくない理由があります。でも、土地を離れたくない甥は、リーに故郷に戻り、自分の面倒をみてくれる事を望みます。幼い頃から甥を可愛がっていたリーは、甥のためにできることはしたいと思っているようですが、過去の“罪”のためにリーは踏み出せないでいます。そんななか、故郷に戻り、いろいろな人に再会する事で、リーの心にも少しずつ変化が…。あとは、リー自身が自分を許すだけ。そんな彼の葛藤が本作には描かれています。償いたくても、償えない罪を犯してしまった時。自分を許すのはとても難しい事です。でも、悪意で犯した罪でないのなら、いつか自分を許しても良いはず。別の形で償うチャンスがきたら、自分を許すタイミングなのかも知れません。 |
夜に生きる
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<愛に生きるには自分を許すべき> |
愛する人を失い、心を捨ててギャングの世界でのし上がっていくジョー。でも、再び愛せる女性に出会い、生き方を考えるようになります。ギャングの世界にいながらも、まっとうな生き方に軌道修正しようとするジョーでしたが、都合良く縁を切れるわけはなく、自分の手もどんどんと汚れていきます。汚い仕事をしながら、同時に愛する女性との理想の生活を送ることは難しい。既に頂点に近いところまできたジョーは、今の生き方を続けるのか、愛に生きるのか。そもそも、最初に失った女性への罪悪感が、彼にこんな生き方を強いたわけですが、その罪から解放されるかどうかが、彼の運命の分かれ道になりそうです。 |
悔やんでも悔やみきれない事って、自分の不甲斐なさだったり、未熟さだったりが原因という場合がよくあると思います。悔やんでばかりいても仕方がないとわかっていても、やっぱりなかなか自分を許せない状況はとても辛いですよね。でも、どこかでそんな自分を許して次に進む事が、償いになるのだとしたら、少し前向きになれそうです。
2017.5.1 TEXT by Myson