人は孤独を感じるのが辛いからこそ、1人になろうとします。でもずっと孤独だった日常で、急に“居場所”を見つけたら?今回は、孤独な世界でもがく人々の物語をご紹介します。
ツイートあゝ、荒野
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<彼にとって、それが人と繋がる方法> |
それぞれに孤独を抱えながら生きている人々の姿を描く本作。そのなかで、主人公の新次と健二は、ボクシングでだんだん強くなることで、自分の居場所を見つけていきますが、徐々に2人がボクシングをする理由は異なっていきます。ある男への復讐がきっかけでボクシングを始めた新次は、勝たなければ意味がないと思う一方、健二は自分の特別な存在である新次と繋がり続けるためには彼と戦わなければと思うようになります。ボクシングによって、孤独な人生から抜け出す糸口を見つけた2人ですが、“繋がる”ことで、やっと“生きている”と思えたのかも知れません。 |
スイス・アーミー・マン
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<2種類の孤独> |
食べ物も道具も何もなく、無人島から故郷へ戻る術がないと思われるなか、主人公ハンクが必死で帰ろうとする物語かと思いきや、結末で意外な真相が明かされます。たまたま海から流されてきた死体にメニーという名前を付けて、ハンクは故郷へ向かう道中、彼を連れ歩きます。二人っきりの旅のあいだは、メニーのおかげで孤独が癒されるのですが、元の生活を思い出すと激しい孤独に襲われるハンク。誰もいない時の物理的な孤独と、誰かがいるからこそ感じる孤独は、全く異質で、どちらが耐えがたいものかがすごく伝わってくるストーリーです。どちらの孤独も辛いことに変わりありませんが、どうしようもできない時、ハンクのようになってしまうのもわかる気がします。 |
私は一人のほうが好きな性格だと自覚しています。でも、それは有り難いことに、家族や友人達に恵まれて、本当の孤独の辛さを知らないで生きてこられたからなんだろうと思います。孤独でいるという選択肢しかないならば、一人が好きだなんて思わないでしょう。大人になってから徐々にそういうことがわかってきましたが、だからこそ、孤独との戦いは誰にでもあるとは思いつつ、誰かとの繋がりを大切にしなければと思います。
2017.9.11 TEXT by Myson