2017年10月21日より全国公開/R-15+
スターサンズ
公式サイト
前篇とはガラリと変わり、新次と健二の物語にフォーカスされる後篇。前篇では、孤独な人間達が絡み合うことで、徐々に孤独から抜け出すのかなという期待を抱かされましたが、そんな短絡的なストーリーになっているわけはなく、“燃え尽きる”とはまさにこのことと言わんばかりのラストに圧巻でした。ボクサーを演じる菅田将暉、ヤン・イクチュン、山田裕貴、それぞれが身体作りをしっかりして挑んだボクシングシーンは、とても迫力がありますが、ボクシング映画で終わっていないところが本作の魅力です。ボクシングはあくまでこの世の誰かと“繋がる”ための術、つまり孤独から抜け出す、不毛な人生から抜け出す術になっているだけ。さらに、殴り合いをしているようで、自分自身を殴っているようにも見える描写に、自分の存在を許せずに生きる辛さが重ね合わされているようでした。荒々しいシーンの合間には、BLらしき要素も出てきますが、露骨な描写ではなく、一つの美しい愛として匂わせる程度にしている点に品の良さを感じます。女性キャラクターも含め、それぞれのキャラクターが愛おしく見えましたが、人生の現実を突きつけるラストには賛否両論出るかも知れません。でも、私個人的にはこれはこれでハッピーエンドだと思います。皆さんがどう解釈されるのか、いろいろな人の感想を聞いてみたい作品です。 |
前篇に比べて後篇のほうがデートで観るにはまだ観やすいほうだとは思いますが、後篇からいきなり観てもやはりわかりづらいので、観る前に性的シーンやバイオレンスシーンがあることを予め2人とも認識した上で観たほうが、逆に気まずくなりづらいかも知れません。観終わった後は語りたくなる映画なので、会話は弾むと思いますよ。 |
孤独な人生を生きる辛さは、子ども、大人問わず体験するはず。それとどう向き合うのかを描いた本作を観て、何かしら得るものがあると思います。お手本というのとは違いますが、世の中の人、皆それぞれもがきながら生きている姿を観られるので、勇気づけられるはずです。前篇と同じくR-15+なので、15歳未満の人は観られませんが、大きくなったらぜひ観てください。 |
関連記事:
■完成披露舞台挨拶、菅田将暉、ヤン・イクチュン、木下あかり、モロ師岡、今野杏南、山田裕貴、でんでん、木村多江、ユースケ・サンタマリア、岸善幸監督
■『あゝ、荒野 前篇』
■【映画を処方】:孤独との戦い
■TJE Selection イイ男セレクション/菅田将暉
■TJE Selection イイ男セレクション/ヤン・イクチェン
■TJE Selection イイ男セレクション/モロ師岡
■TJE Selection イイ男セレクション/山田裕貴
■TJE Selection イイ男セレクション/でんでん
■TJE Selection イイ男セレクション/ユースケ・サンタマリア
©2017『あゝ、荒野』フィルムパートナーズ
2017.9.27 TEXT by Myson