2015年5月30日より全国公開
エレファントハウス
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人間の冷たさと温もりを両方感じられる作品で切ないシーンは多々ありますが、最後まで観るととても前向きな気分になり、心を解放されるストーリーです。“そつなく”どら焼き屋を営業している千太郎のもとに、求人を目にした1人の老婆、徳江が働きたいと申し出るところから物語は始まります。この2人にはそれぞれに抱えている問題があるのですが、最初は何だか明かされていません。ただ共通するのは「2人とも何かに縛られて生きている」ということ。でも2人の違いは、自分が本当はどうしたいかがわかっているかどうかというところにあります。徳江はある事情で生き方を選べない人生を歩んできており、だからこそ自分が今何をしたいか、何が幸せかをよくわかっています。千太郎はそんな徳江に出会ったことで、自分の生き方を見直すことになり、逆に徳江は、千太郎に出会ったことで今まで選べなかった人生を歩むことになります。 本作には、「自由に生きられるということの大切さ」というテーマを感じましたが、樹木希林が演じる徳江のセリフに、ハッとさせられるような言葉が何度かあって、「自分が好きなように生きられる自由があるのに、どうしてそれを選ばないのか」と観る者に語りかけてきます。主人公は老婆ですが、若い人にこそ観て欲しい一作です。 |
ロマンチックな内容ではありませんが、人生でとても大切なことを教えてくれるストーリーなので、本命の相手と観に行って、共有して欲しい内容です。生きるために働くのは当たり前のことだし、それがどんな仕事であれ立派ですが、もし彼氏や旦那さんが、仕事に不服を感じながら、もしくはやる気が無く向上心もなく将来性も感じずにそつなく毎日を過ごしているようなら、ぜひ本作を観に誘ってあげてください。 |
まだ働くような世代になっていないキッズやティーンの皆さんにもぜひ観て欲しい内容です。大人になると大きな社会に出て行かなければいけません。世の中には、正しく理解されていない事柄も多々あって、もし自分が誤解をされるような状況になってしまったら、自分の生き方を他者に制限されることもあり得ます。本作は、そんな不遇の人生を送った老婆が、まだ人生にやり直しが利く若い世代に大切なメッセージを投げかけてくれる物語です。仕事はお金を稼ぐためだけにやるものではないということも教えてくれる内容なので、大学生など就職が近い方もぜひ観てください。 |
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2015.5.26 TEXT by Myson