2014年9月17日ブルーレイ&DVDリリース(レンタル同時)
ポニーキャニオン
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家路 [Blu-ray]
本作は震災や原発問題という大きなテーマを背景に家族の物語が描かれた作品となっています。主人公は内野聖陽と松山ケンイチが演じる兄弟で、男たちのプライドが描かれた物語にも思えました。兄は農家の長男としての責任を抱え、弟は一度出てしまった故郷には戻らないという固い決意があり、男にしかわからないプライドや決意を感じました。かといって、男性だけを中心に描いているわけではなく、田中裕子が演じる母がだんだんと認知症を患っていく様子や、安藤サクラが演じる兄の妻も仮設住宅の息苦しい生活から逃れるようにデリヘルで働く姿など、女性がじわじわとストレスを感じている様子には同性として共感できる部分も多かったです。 お話自体はフィクションなので実話ではありませんが、ドキュメンタリストである久保田直監督が現地の方々に取材を重ね、東北出身の脚本家、青木研次と共に作り上げた作品なので、それぞれのキャラクターの心理描写はかなりリアルに描かれていると思います。家族の物語としては誰もが共感できる作品です。ぜひ一度だけではなく、時期をおいて二度三度と観て欲しいです。 |
カップルでも観て欲しいのですが、本作に登場する兄夫婦は、故郷を離れ仮設住宅で暮らすというストレスもあり、決して円満ではなく、やや男性本意なセックスシーンもあります。震災や原発問題が背景としてありきの人間ドラマが描かれているので、そこまでイヤらしいシーンだと思いませんでしたが、付き合いたてのカップルだと気まずいかも知れません。付き合いの長いカップルであれば、夫婦の問題を客観的に観察しながら観てみてください。 |
大人にしかわからない事情が盛り込まれているという意味では、キッズが観るには早いかも知れません。地震や原発問題の怖さだけでなく、それらの問題が人々の気持ちにも影響するという点まで理解できるようになってから観て欲しいです。ティーンは、各キャラクターがどんな思いを抱えて生活をしているのかを考えながら観てください。兄弟、夫婦、親子など家族関係のさまざまな様子が観られる作品なので、今いる家族のことを思って観ても良いですし、将来どんな家庭を築くのか想像しながら観ても良いと思います。 |
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©2014『家路』製作委員会
2014.9.16 TEXT by Shamy