2017年2月18日より全国公開/PG-12
ファントム・フィルム
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好きな役者の1人であるジェイク・ギレンホールが主演ということだけでも観たいと思いましたが、『ダラス・バイヤーズ クラブ』『わたしに会うまでの1600キロ』のジャン=マルク・ヴァレ監督作ということで、より興味を持ちました。妻を亡くした1人の男が“demolition(原題)”=取り壊しを経て、再生していく様を描いており、期待通り“自分探し”のストーリー。心が麻痺して、自分に起こった悲劇的な出来事も他人のことのように無反応だった男が、ある種の破壊行為を経て、抑えていた感情と向き合う様を、ジェイク・ギレンホールが見事に演じています。女性目線で、前半はクソ野郎に見えるのですが、後半ではガラリと母性本能をくすぐってくる主人公、さすがジェイク・ギレンホールですね。映画的には派手な展開があると言うより、日常を淡々と描き、主人公の内面の変化を主に描いているのですが、これほどドラマチックにスリリングに描くとは、ジェイクだけでなく、ジャン=マルク・ヴァレ監督の手腕も素晴らしいと思います。邦題がなぜ『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』なのかは劇中のシーンで真相がわかりますが、恋愛関係や結婚生活のなかで、慣れてくると見落としてしまいがちな大切なことを思い出させてくれる名シーンなので、このシーンの主人公の気持ちにぜひリンクして欲しいと思います。 |
内容としては、カップルのムードを盛り上げるというよりも、日々の反省を促すようなストーリーなので、デート向きとも言えるし、不向きとも言えます。ラブラブなカップルが観ると、自分達の行く末が不安に思えてくる可能性があり、妙に冷めて観ちゃう可能性があるし、逆目線だと、「こういう風にならないよう気を付けよう」と反面教師的に観ることも可能です。マンネリカップルは、まだお互いに気持ちがあるなら、今のうちに一緒に観て、初心に返るきっかけにするのも良いでしょう。 |
キッズにはまだピンとこないストーリーだと思いますが、思春期のティーンなら主人公の得体の知れない感覚は、少しわかる部分があるかも知れません。気持ちの置きどころをわからなくさせられる出来事は、これから大人になるにつれ増えていきます。自分の心が傷付かないために、知らず知らず心を麻痺させてしまうこともあるでしょう。それが悪いことだとは一概に言えませんが、幸せそうには見えません。皆さんにとってそれが良いことかどうかは、本作の主人公の姿を参考にしてください。 |
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2017.2.6 TEXT by Myson