1980年代、まだエイズについての知識がほとんど世の中に浸透しておらず、エイズ患者は皆ゲイという偏見もあった時代にHIV感染した男性の実話を映画化した本作。自堕落な生活を送っていた主人公のロンでしたが、HIV感染で余命宣告されたことで「死にたくない」という思いで必死にエイズについての勉強を始めます。何とか生きながらえたいと思うロンは、まだ米国で認可されていない治療薬の被験者に立候補しますが叶わず、別の方法を見つけます。メキシコで代替治療薬を見つけた彼は密輸し、それを広めるためにビジネスを始め、後半は一見サクセス・ストーリーに転じるのかと思いきや、「死なないようにするのに必死で生きている意味がない」というセリフがとても印象的でした。やっぱり“死”は彼にずっとまとわり続けています。説教じみた映画という意味ではありませんが、この映画は「本当の意味で“生きたくなった”ときには遅い場合もある」という教訓を教えてくれます。
今作のために21s減量したマシュー・マコノヒー、同じくHIV感染者でトランスジェンダーのレイヨンを演じたジャレット・レトの演技が見事でした。悲壮感が蔓延する本作ですがユーモアなシーンもあり、2人が演じたキャラクターのあいだにだんだんと信頼関係が生まれていく様は、主人公ロンの人間的な成長も表していました。そしてジャレット・レトが演じるレイヨンがとてもキュートです。「幸せって何だろう?」というよりも、「本当の不幸って何だろう?」と考えさせられるストーリーです。「生きなければ」と思わせてくれる作品なので、なんだか何をやるにもやる気が出ない状況に陥っている方には特にオススメです。
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主人公は無類の女好きなので、数カ所セクシャルなシーンはあります。でも全般的にとても考えさせられる内容なので、真面目に映画を観たいモードの日に観るならば、デートで観ても良いと思います。人が本当の意味で“生きていない”状況と、“生きたい”と思い始めたときの状況とがとてもわかりやすいので、2人で意識を高めるのに良い題材の映画だと思います。なので真剣交際をしている、するつもりの相手と観ることをオススメします。 |
R-15なので、高校生以上の人しか観られませんが、今観られない人も大きくなったらぜひ観て欲しい作品です。若い皆さんは自分の日常が有意義かどうかなんてまだ意識することは少ないと思います。でも、大人になって自分の人生は自己責任だという状況になったときにどういう毎日を送るかは自分次第になります。一生懸命生きる、生きている実感を感じられる生活をするとことを理解するのは大人になっても難しいですが、本作を観てその意味について今から考えられることはこれからの人生でとても意味のあることだと思います。 |