2016年12月23日より全国公開
ファントム・フィルム
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本作は、アメリカとイギリスが協力して、ケニアのナイロビに潜伏しているテロリストを捕獲しようとするも、自爆テロの恐れが出てきたため、殺害に切り替え…という一連の流れのなかで、関係者各々が1人の人間として、そして国を代表する責任者として、「誰を救うべきか」という選択に、苦渋の決断をくだす様を描いています。軍の話、テロの話と安易に括ってしまうと、私達日本人から縁遠い話に思えるかも知れませんが、本作はどの国のどんな境遇の人にも通じる深いテーマを描いていて、考えさせられる点が多々あります。来日したプロデューサーのジェド・ドハティさんにインタビューさせて頂いた際、誰の命を救って、誰の命を犠牲にするかの議論で、心理学でトロッコを喩えにした説が出されました。トロッコは止められず、分かれ道の先に人がいる場合、誰もが人数が少ないほうに進もうとレバーを動かしますが、「もしそのうちの一方が自分の子どもだったら」という選択になると、間違いなく皆自分の子どもを救うほうを選ぶという内容でした。救える人数を優先するのか、人数の問題ではないとするのか、正解がない状況のなかで、本作は観る者にも議論を投げかけます。 イギリス側の作戦を指揮するのはキャサリン・パウエル大佐で、このキャラクターを女性に設定したのも、意図してだそうですが、母性の働く女性が、1人の幼い少女の命がかかっている状況下でどう対処するのかも見どころとなっています。パウエル大佐を演じるヘレン・ミレンほか、故アラン・リックマン、アーロン・ポールなど、俳優の演技力によって、リアリティも充分。一見、男性向けの作品ですが、女性にもぜひ観て欲しい1作です。 |
ロマンチックなムードは一切ありませんが、お互いの価値観を探る上で深いテーマが扱われています。議論のし甲斐のある内容なので、映画を観終わった後に語りたいカップルにはピッタリです。何となく堅くて小難しい雰囲気がありますが、ストーリーはすごくシンプルで、テーマもわかりやすいので、その点は心配ご無用。ただ初デート向きという感じではないですね。 |
幼いキッズにはまだ難しい内容ですが、小学校高学年くらいなら、こういうシチュエーションで自分ならどうするだろうと考えたり、あらゆるタイプのキャラクター達を観て、いろいろな考え方があると知るのは良いと思います。世の中には、丸く収めることが難しい問題がいくつもあります。正解がない問題もいくつもあります。でも、そのなかで一番良い選択を自分なりに考えることが必要で、これから大人になるとだんだんその責任も重くなります。この映画はそういった社会勉強をさせてくれる作品です。 |
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2016.12.12 TEXT by Myson