2017年8月26日より全国順次公開
ファントム・フィルム
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子連れで再婚した夫婦と、その連れ子という構成の家族。血の繋がりはあるけれど離れて暮らす家族と、血は繋がっていないけれど一緒に住む家族という複雑な家族関係が、新たな命の誕生を前に、さらに複雑になろうとする様子は、観ていて本当に心苦しいものがありました。親心、子心にも、夫婦間の女心、男心にもギャップがあって、それぞれにそれなりの理屈があるからこそ、どうにかしたくてもどうにもできない。そのもどかしさがヒシヒシと伝わってきて、観ているこちらも、家族を維持する難しさを実感し、ちょっと自信を喪失させられてしまうほどでした。でも、そういう厄介なことを避けられないのが家族で、それを乗り越えられたらもっと強い絆で結ばれていくんだという希望も感じられました。そして、とても丁寧に子どもの心情を描いていましたが、他人と身内の違いって、たしかに生死の問題に関わる場面で如実に出るのかも知れないなと思いました。大人キャラクターも一人ひとりが多面的に描かれていて、どこか憎いと思わせるキャラクターでも共感させられる部分があります。ストーリー、演出、役者すべてが素晴らしい作品です。 |
交際歴が浅いカップルや、まだ結婚を視野に入れていない関係で観ると、急に結婚生活の現実が差し迫ってきて気後れするかも知れません。でも、本作の主人公と同じく再婚を視野に入れているカップルは、シミュレーションとして観ると、とても参考になるでしょう。リアル過ぎて気まずくなる部分もあるかも知れませんが、これを機にあらゆる心配事について踏み込んで話せると良いですね。 |
友達のなかには、いろいろな家庭事情を抱えた人もいると思います。それぞれの家庭事情をわざわざ口に出して友達に話す人はあまりいないかも知れませんが、社会を知る意味で本作を観てみるのも良いと思います。子ども目線でいろいろ感じる部分も多いでしょう。主人公達と家庭事情が似ている人は、敢えて親子で観て、普段話しづらい事をお互いに告白するのも良いのではないでしょうか。 |
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2017.9.13 TEXT by Myson