2014年11月22日より全国順次公開
ミモザフィルムズ
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命の誕生が軸となっていた前作と比較すると、こちらは命の誕生から終わり、終わりはバトンタッチというニュアンスで描かれています。前作で登場していた家族も出てきますが、再婚により血のつながりのない親子になったケースなど、新たな問題に悩む家族の形も映しだされ、今度は血のつながりという新しいテーマも入ってきます。今作はどちらかというと、男性に焦点が当てられ、父としての存在について考えさせられる内容になっています。思えば、女性は子どもをお腹のなかに授かったときから徐々に母性を意識し始めるけど、男性は出てきた赤ちゃんを見るまで実感がわかないのも当然ですよね。父親になるのって、母親になるよりももっと複雑なのかも知れないなと改めて感じましたが、そういうことも踏まえて考えると、夫婦揃って子どもを育てるというのは、男性が女性を支えるということだけでなく、女性も男性を理解してあげないといけないんだなという発想にも繋がりました。 本作は一般から出演者を募って撮影しているということで、観ている私たちが身近に感じる人々が登場します。ドキュメンタリーと聞くと壮絶な人生を送っている人たちが登場するものだと思っている方もいるかも知れませんが、ここに登場する人たちは壮絶な人生を送っていたとしてもとても前向きに日常を過ごしているせいか、ほのぼのとして見えます。命について描いたドキュメンタリーとだけ聞くと大げさな印象があるかも知れませんが、人は誰でも小なり大なり悩みを抱えて生きているなかで、人生に力み過ぎて幸せを感じられないというときに、気持ちをちょっとでも楽にしてくれる作品と言えます。 |
結婚、子育て、出産、家族の死、遺された家族のその後などを撮ったドキュメンタリーなので、鑑賞後は自ずと自分たちの家族について語りたくなると思います。一緒に観るなら本命の相手と観て欲しいですが、一方的に自分が結婚したくてプレッシャーをかけたいと思って誘うようなシチュエーションだと、相手にいろいろなことを考えさせ過ぎてしまう可能性もあります。逆に、子連れで再婚した夫婦や、これからそうしようとしているカップルには良い例となる家族が登場するので、前進するのに背中を押してもらえると思います。あとは熟年夫婦にも身近に感じる話題が取り上げられているのでオススメです。 |
キッズはどこまで理解できるか微妙ですが、本作のテーマなどまで理解できなくても、自分の家族に当てはまりそうな内容は、子どもなりに共感できると思います。血の繋がりのない親子関係に悩んでいる人や、血の繋がりがあっても親との関係に悩んでいる人の場合は特に、今この映画を観ることで、親心が客観視できて、少し気持ちが楽になるかも知れません。子どもよりも大人のほうが不器用な場合もあるので、それなりに苦悩している大人の姿を観るのも良いかも知れません。 |
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2014.11.5 TEXT by Myson