2014年8月16日より全国公開
スターサンズ
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本作は、フランスの宮殿とパリスラスベガス・ホテルを模して、ホワイトハウスの約2倍にもなるというアメリカ一大きな宮殿、名付けて“ベルサイユ”を(自宅として!)建てようとしていた実在の大富豪デヴィッド・シーゲル夫妻に密着したドキュメンタリー。この宮殿はなんと約8500平米、総工費は約100億円!この一家はすでに2500平米の大邸宅に住んでいるにも関わらず、この家を建てようとしていたのです。デヴィッド・シーゲルはリゾートマンションのタイムシェアで利益を生む会社を設立し、一代で巨万の富を築き上げ、年収1000億以上を稼いでいたようです。そしてこの会社の株は非公開なので、すべて自己資本で動かしています。本作を撮り始めたのはリーマン・ショックより前なので、デヴィッド・シーゲルは映画の初めのほうはまさかこんな恐慌が起きるとは思っていない状況で話しています。彼はもう70代を超える高齢ですが、まだまだ仕事もバリバリこなしさらなる成功への意欲も満々で、若く美しい女性への感心も高い様子。奥さんのジャッキーとも30歳以上離れているようですが、40歳を過ぎた彼女に向かって「20歳の子、2人と交換だ」などと言っているくらいです。そんなブイブイ言わせているデヴィッドですが、本作は夫目線だけでなく、妻ジャッキー目線からも描いているのがおもしろいところ。最初はこの夫にしてこの妻という感じで、2人とも「ザ・大富豪」という感じなのですが、恐慌が起きて危機に瀕すると夫婦の価値観の差が歴然としてきます。一見、夫婦仲は良いように見えるのですが、会社が危うい状況になりお金を湯水のように使えない現実に引き戻されると気持ちに余裕がなくなってしまうのは、大富豪も同じなんですね。まあむしろこれほど桁違いな大富豪の方が転落の度合いがすさまじいので本当は不機嫌どころではないと思うのですが、本作ではシーゲル夫妻を決して美化することもなく批判することもなく、とても現実的な姿が映されていてシュールです。夫妻それぞれの苦労も描かれているけれど、お互いの至らなさも撮られていて、住む世界が違う人たちとはいえ人間味がある部分で、誰が観ても共感できる内容になっています。 この映画はお金持ちに憧れる人に夢と現実を見せてくれる映画でもあり、会社を経営する人たちにとってはリアルに学べる部分もある作品です。ドキュメンタリーって地味なイメージがある方もいると思いますが、とてもエンターテイメント性のあるドキュメンタリーとも言えますので、ぜひご覧ください。 |
桁外れな金銭感覚で生活している大富豪の様子は観ていてとてもおもしろいですし、ゴージャスな気分を少しでも味わえるので、デートで観てもおもしろいと思います。同時に恐慌で一瞬にして危機に瀕してしまう様子や、そういうときの夫婦の様子なども、今後結婚を考えるカップルなら特に勉強になると思います。大富豪だけれど倹約家でもある夫デヴィッドと、夫を支える姿勢は素晴らしいけれど金銭感覚がおかしくなってムダ使いをする奥さんのジャッキーの姿は、仕事人間の夫と専業主婦の妻の関係性や、結婚生活でのお金の影響力などについて、この映画の2人と住む世界が違う私たちにもいろいろと訴えかけてきます。 |
この映画に出てくる大富豪一家の暮らしぶりはキッズやティーンからすると夢のようかも知れませんが、恐慌が起きてだんだんと状況が変わってくる様子もちゃんと観ておきましょう。自分で働いて稼いでいないうちはピンとこないと思いますが、お金は自然に沸いてくるものではありません。今お金持ちでも、いつかいきなりお金がなくなってしまうこともあります。この家の子どもたちもいろいろな考え方の子が登場するので、ティーンの皆さんは特に自分だったらどうするか、どうしたいか、客観的に想像しながら観ると勉強になる部分があると思いますよ。 |
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2014.8.11 TEXT by Myson