2011年1月29日より全国公開/PG-12
東宝
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原作を読んだことがなく、あまり内容を知らずに観ましたが、こんなに激しい映画だったんですね。そしてかなりSF要素が満載ですが、意外にその世界観が映像的にちゃんと作られていたので物語に入り込めました。「善とは何?」「それって偽善?」など、わかりやすいテーマで人を助けるということの難しさや複雑さが描かれている点で興味深い内容でしたし、だからSFで突拍子もない設定だけどそんなに違和感なく観られたのかも知れません。 そして生と死の両方を行き交うという設定もおもしろいです。過激な演出で死を意識させるように見せかけて、本当は生の大事さを意識させる…ちょっと『バトル・ロワイヤル』を観たときの印象に似ています。観る前から「子供の教育に悪い」とか表面だけでシャットアウトしてしまい、子供の理解力や判断力を養おうとしない大人が出てこないことを祈ります。 あと、キャラクターとしてはやっぱり松山ケンイチが演じる加藤に共感しました。自分の弱さをわかっているから強くなろうとする、そして素直で、率先して人を助けようとしているのに「お前こそ自分だけ無事に帰りたいだけだろ。偽善者だ」と言われても、そういう一面が自分にあるかも知れないと受け止める。とても人間らしいなと思うし、応援したくなりました。二宮和也演じる玄野計との対比もおもしろいです。彼らは真逆で、玄野は自己中心的ではあるけれど、ある意味それが彼の正直な面であり、だからこそ彼が助けるときは偽善ではないとも言えるのかも知れません。考えると頭がこんがらがりますが、こういう哲学的要素のある映画は好きです。 |
血みどろのシーンが意外にあるので、こういうのが苦手な女子には向かないかも知れません。SF映画だし、設定は結構ぶっとんでいるので、そういう世界観が観る前から受け入れられなさそうな人はやめておいた方が良いでしょう。ちなみにこの一作で完結ではなく2部作ですので、そのタイプが好みでないカップルは考慮して観に行ってください。映画そのものはなかなかおもしろいので、結局のところ、「血みどろシーンに耐えられるか」「SFは嫌いじゃないか」が判断基準でしょう。 |
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2011.1.16 TEXT by Myson