酪農って、都会に住んでいると余計に縁遠い世界なので本作を観てとても勉強になりました。普段スーパーで牛乳を買うときはなるべく安く買いたいと思ってしまいますが、劇中で牛乳の原価がセリフに出てきたのを聞いて、ビジネスとしても酪農って難しいし厳しいんだなと実感しました。そして、本作は農業高校を舞台に描かれているので、学生たちは将来家を継ぐと決まっている子がほとんど。そういう設定の物語もあまり観たことがなかったので、自分とは全然違う価値観や考え方を持って青春時代を過ごしているキャラクターたちの姿はとても新鮮でした。この職業難の時代に公開される映画だからこそ、将来の進路がほぼ決まっているキャラクターと、まだ何も決めていなくて不安に思いながらも一方でいろいろな可能性があるとも言える主人公のキャラクターとの比較が、とても時代を反映しているように思えて興味深かったです。この物語に出てくる若者たちを観ていると「自分が高校生の頃なんてもっと気楽だったし、それってとても恵まれてたなあ」とつくづく思いました。いろいろと苦難に直面しながらも、日々の部活や文化祭などに一生懸命な高校生たちの物語は、観る者をとても温かい気持ちにさせてくれると同時に「自分も頑張らないと!」と思わせてくれます。 |
気まずくなるようなシーンもなく、とてもさわやかな映画なので、デートで観るのにもオススメです。酪農がテーマなので動物を食肉にする過程のシーンが若干出てきますが、過激な部分は映っていません。ラブストーリーはほのめかす程度なのでロマンチックなムードを盛り上げるほどではないですが、友達以上恋人未満のカップルは共感できるさわやかさがあります。そういった意味では、中高生カップルにちょうど良いデート・ムービーとも言えます。 |
キッズやティーンにぜひ観て欲しい作品です。毎日当たり前のように食べているお肉や牛乳、卵などは、酪農業の人たちが一生懸命毎日働いてくれるから食べられるということがよくわかります。それに食用として育てられる動物たちについても考えさせられる内容なので、食の有り難みを感じられると思います。親子で観ていろいろと話し合うのに有意義なテーマの映画だし、将来の職業についても本作の大きなテーマになっているので、高校生以上のティーンは友だち同士で観るのもオススメです。 |
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2014.2.28 TEXT by Myson