2014年12月26日より全国公開
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『最強のふたり』の監督と、オマール・シーが再び組んだ作品ということで、もっとコミカルな内容なのかと思っていたら、結構しっとり系のストーリーでした。オマール・シーが演じるサンバは明るいっちゃ明るいのですが、笑わせるような勢いのある明るさではなく、子犬のように面倒を見てあげたくなる愛らしさとやや悲壮感漂うキャラクターです。そして意外にモテる(笑)!プレイボーイの自覚がないプレイボーイという感じで、男としては美味しい位置づけ。生活では相当苦労するんですが、仕事に困っている割りには仕事ぶりが不真面目な部分もあって「真面目にやれ!」と少々苛立ちを感じてしまいました。オマール・シーにコメディなキャラをやらせたかったのかも知れませんが、個人的にはこのキャラクター設定上少々違和感がありました。日本人目線だからかも知れませんが(笑)。一方シャルロット・ゲンズブールが演じるアリスは日本人でも体験しそうな状況に置かれたキャラクターで、日常でもがいている女性像としては万国共通に描かれていたように思います。元住んでいた世界が違っていたけれど、人生に迷って巡り逢ったサンバとアリス。さらっとラブストーリー的展開もあり、それぞれにどうこの困難を切り抜けるのかが描かれています。サンバのように祖国に強制送還させられる危機と直面しながら生活しなければいけない状況は想像もできませんが、不況の日本で働く先がない人たちの状況は同じような感覚かも知れないとリアルに感じました。 シャルロット・ゲンズブールの悲壮感をユーモラスに見せる演技は笑える部分もありましたが、『最強のふたり』のノリと同じものを期待し過ぎると正直ちょっと肩すかしに思えてしまう可能性はあります。本作は別物として、先入観なしに楽しんで頂くのが良いと思います。 |
気まずいシーンはないので、デートで観ても問題はありませんが、苦境の生活を描いているので、観る人の境遇によっては割り切って楽しめないかも知れません。彼氏、旦那さんが働き口がなくて悶々としている状況のときは控えた方が良いでしょう。逆に相手がぬるま湯に浸かったような生活に甘んじているなら、自分の状況の有り難さをわからせるきっかけとして一緒に観て、ちょっと発破をかけてあげると良いかも知れません。 |
まだ働いた経験のないキッズやティーンは、キャラクターの感情にはピンとこないかも知れませんが、仕事に就けなくて困っている人いる人はどういう要因でそういうことになるのか、社会の仕組みを学ぶ意味で観ると良いと思います。子どもだけで観ると理解できない部分も出てくると思うので、大人と一緒に観て後で解説してもらうと良いでしょう。 |
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2014.12.1 TEXT by Myson