先日来日した際にインタビューでお会いしたグザヴィエ・ルグラン監督のお話に寄ると、本作は多くのDV女性被害者に取材して作られたそうで、フランスで起きているDVについて、本当に恐ろしい実態が明かされています。何が恐ろしいかというと、暴力的行為そのものはもちろんなのですが、最悪の事態を避けるために逃げようとしても、あらゆる事情で逃げられない状況になってしまっていることです。元夫は子どもを利用して執拗に元妻に会おうとするのですが、ただ離婚しただけの夫婦間、家族間でのやり取りなら問題がないことなので、元夫が何か企んでいるのかどうかを、第三者に証明できまないんです。その心理的恐怖がすごくリアルに描かれていて、そんななかジュリアンが子どもなりに必死でうまく対処しようとする姿が胸に刺さります。ドキュメンタリーのようにまるでどこかで本当に起こっているままを見せられているような臨場感があり、偏った視点で描いているのではない点で、男性目線で観て客観視できる内容になっているようにも感じました。「DVを放っておいてはいけない」と、女性にとって警鐘を鳴らす内容ですが、女性や子どもにとってどんな恐怖感があるのか、ぜひ男性にも観て理解して欲しいです。 |
カップルでDVについて改めて話すという機会は普通ないと思いますが、一緒に本作を観て、これがとても恐ろしいことだと認識を共有するには良い内容だと思います。たとえ彼がDVを犯すような人でなくても、女性の立場からして暴力がどんなに恐ろしいことか、また逆に男性が本作を観てどういう感想を持つのか、話し合うのは有意義だと思います。 |
両親が離婚し、父と離れて暮らすことになった後も両親の間で板挟みになり、母親を必死に守ろうとするジュリアンの目線に、キッズやティーンの皆さんは等身大で感情移入できるでしょう。衝撃的なラストなので、キッズにはだいぶ怖いかも知れないので敢えてオススメはしませんが、小学校高学年以上ならいろいろな人物の心情も理解して観賞できると思います。 |