2016年11月19日より全国公開
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病気のため29歳で亡くなった実在のプロ棋士、村山聖(さとし)の将棋人生を周囲の人々の姿とともに描く作品です。実話を基にしたフィクションとして、いくつかのエピソードは映画のために書き加えられたもののようですが、村山聖という人間が、どれほどの気迫をもって将棋の世界を生き抜いたのかは、痛いくらいに伝わってきました。最初は、いくら病気とはいえ、口が悪くて傍若無人な振る舞いの聖にちょっとイラっとしましたし、周りの人が優しくするのを「なんだかな〜」と思って観ていたのですが、聖のただならぬ将棋への情熱、尋常ではない勝負へのこだわりに、いつの間にか観ている自分も惹きつけられ、聖の強烈な個性をだんだん好きになっていきました。1つの勝負に、こんなに命を燃やせるとは、こんなに集中できる感覚とは、どんなものなのでしょう?それは、おそらく常人には知ることのできない天才のみぞ知る世界なのでしょうね。ただ、正直を言えば、聖にはもっと自分の体を労わってほしかったと思います。食生活とか、お酒の飲み方とか、観ていて気になるところもいっぱいありました。できれば、将棋と同じくらい生きることにもこだわってほしかったです。 精神的、肉体的アプローチで村山聖になりきった松山ケンイチはもちろん、素顔はまるで違うのに本当に羽生善治と見間違える瞬間があった東出昌大の演技には驚きます。リリー・フランキー、染谷将太、安田顕、柄本時生、筒井道隆など脇を固める俳優陣もとにかく個性的で豪華。映画ならではの贅沢なキャスティングも見どころです。 |
松山ケンイチが「この作品のヒロインは羽生善治」と語ったそうですが、変な意味ではなく、まさにその通りだと思いました。単なるライバルと呼ぶには、あまりにも特別な宿命と絆で結ばれた2人。そして、傍若無人な聖が羽生だけは心からリスペクトして大切に接する感じ。これはもう、ある種のラブストーリーだと思います。ロマンティックな要素はないものの、誰もが見入ってしまう人間ドラマなので、デートで観るのもおすすめです。 |
キッズやティーンにもわかりやすく、将棋をまったくわからない筆者でも楽しめましたので、男子はもちろん女子が観ても良い作品だと思います。ただ、子どもを亡くす話ですので、親子で観ると、お母さんは少し辛いかも知れません。この作品を観ると、人は1人ではなく、たくさんの人に支えられて生きているのだとわかります。興味をもったらぜひご覧ください。 |
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2016.11.22 TEXT by min