2015年4月11日より全国公開
松竹
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前篇は、校庭で生徒の遺体が発見され、自殺なのか他殺なのか真相にたどり着けず、真実を知りたいと願う生徒たちが校内裁判を実施しようと立ち上がり行動に起こしたところまでが描かれていました。そして本作では裁判が開かれることになるのですが、生徒たちが可能な限りの証拠を集めるため調べていくうちに、さらに不可解なことが浮かび上がり、サスペンスの要素も増していきます。タイトルに“偽証”と付いていますが、誰が何のために嘘を付いているのか、その真相も明らかになります。この校内裁判は、本物の裁判さながらに真相を追求すべく進められていきますが、一方で本物の裁判にはない感情や思いが込められた裁判という側面もあります。心を深く傷付けられた人間が、別の誰かの心を傷つけることもあるというのを痛切に感じさせられる後篇ですが、大人の事情は関係なく、自分たちが求める真実や正義にたどり着くために必死な中学生たちの真摯な姿に本当に胸を打たれ、涙なしには観られませんでした。自分が中学生だった頃のこういう気持ちを思い出させられたと同時に、こうやって傷付きながらも生きていかなければいけないと決意し大人になっていく彼らの姿に切なさを感じつつも勇気づけられました。人の人生に深く関わる怖さ、そして関わらなかったときに残される大きな後悔と罪悪感を描いた本作。まだ割り切って生きていく術を知らない、大人と子どものあいだにいる彼らの苦悩を見て、大人になるにつれ日々起こる問題への対処がうまくなっても、こういう気持ちは忘れてはいけないと感じました。 1年以上かけて約一万人のなかから選ばれた中学生キャストたちの演技もまさに等身大といった感じで、リアルで見事な演技でした。いじめについて描かれたストーリーですが、いじめはよくないことと表面的なことを言っているのではなく、いじめはどうやって生まれるのか、そして当事者たちだけじゃない多くの人物も傷付いているという背景も描いています。ぜひ、大人から子どもまで観て欲しい作品です。 |
どうせなら一緒に二部作の両方を観ると良いでしょう。現在学生でも大人でもここで描かれているような状況は何かしら経験したことがあるだろうし、自分に近いキャラクターがいると思います。とてもシリアスで心が痛くなる内容ですが、人の心の痛みを知るストーリーなので、たまにはこういう映画を一緒に観て感想を述べ合うのも、お互いの人柄が見えて良いのではないでしょうか。ここで自分は真剣に観たけど相手は不真面目に適当に観ただけだったり、自分と全く感性、価値観が違うとわかるかも知れませんが、それを覚悟で観るなら有意義なのではと思います。 |
中学生が主人公なので、ティーンの皆さんには一番身近な物語です。前篇までの印象と、後篇で真相が明かされた際の感想も違ってくると思いますが、物事の見え方はいろいろあるということがよくわかるでしょう。もし自分たちの身の回りにもいじめの問題があったら、あまりにリアル過ぎて苦しくなると思いますが、いろいろな事柄を客観視することができるので、ぜひ観て欲しいと思います。そして、改めて友達の存在の大きさを感じたり、本当の友達ってどういうことかも考えるきっかけにしてもらえたら嬉しいです。 |
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2015.3.9 TEXT by Myson