とても見応えがあり、引き込まれました。本作は豪華キャスト陣(大人)がウリの一つではありますが、それよりも生徒役に起用された経験が浅い10代の若手俳優たちの演技がすごく良かったです。さすが1万人のなかから選ばれただけありますね。メイン・キャスト全員良い演技をしていましたが、特に印象に残ったのは、三宅樹理役の石井杏奈。心に闇を抱えた難しいキャラクターを見事に演じていて、ゾッとさせられつつもどこか放っておけない警戒心と同情の中間のような複雑な気分にさせられました。彼女がE-girlsのメンバーというのを知って意外でしたが、これからはぜひ女優業にも期待します。 そして、本作はやっぱり深いテーマと物語に惹きつけられるのですが、それぞれのキャラクターや、彼らの背景がとても丁寧に描かれ、それぞれにドラマがあります。各キャラクターの視点によって「正義の定義」が異なるので、観ているこちらもすごく悩まされるし、大人になる途中の脆さと無謀さを兼ね備えた中学生たちの奮闘に胸が痛みます。自分にもこういう時代があったなとは思いつつ、大人になった今この物語を観ると、思春期の彼らはまだ生きることに不器用なので抱えるものの重さをもろに受けて苦しむのだなと切なくなりつつも、こういう気持ちって大人になっても忘れてはいけないんじゃないかと思わされます。後篇が待ち遠しい本作。彼らが裁判でどう決着をつけるのか、頭を柔らかくして観たいと思います。 |
かなりシリアスなので、敢えてデート向きとは言いませんが、誰もが感情移入しやすいテーマを描いています。今中学生や高校生のカップルでも、大人カップルでも、観終わったあとにそれぞれの学校生活について話すきっかけにすると、知られざる一面をお互いに知ることができるかも知れません。リアルにいじめや家庭環境で苦しんだ経験がある人を誘うと辛くさせてしまう可能性があるので、そこだけは気遣いを忘れずに。 |
キッズやティーンの皆さんが一番身近に感じられるストーリーなので、ぜひ観ていろいろと考えて欲しいと思います。学校でいじめられている人、いじめている側の人、いろいろな立場の人の視点で本作を観てみてください。また、友達をかばうために家族にも本当のことを言えなくなったり、人それぞれに問題を抱えている姿も客観視して、自分ならどうするかを考えてみるのも良いでしょう。視野が広がれば、これからの学校生活で人とのつきあい方が少し変わってくるかも知れません。 |
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