2016年4月15日より全国公開
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2002年1月に、米国の新聞“ボストン・グローブ紙”が実際に報じたカトリック教会の実態について描かれている本作。無神論者が多い日本ではこういう問題はあまり取り沙汰されませんが、本作は実話ということでさらにショックが大きく、キリスト教徒が多いアメリカではもっと身近に起こりえる出来事だと思うと、本当にゾッとします。聖職者による性犯罪を描いた映画って、これまでもたくさん作られてきましたが、本当に深刻な問題なのでしょうね。タブーを犯してまでその“悪”を暴いたジャーナリストたちの功績は、ラストで感動を与えてくれますが、なぜ聖職者が犯罪を犯してしまうのかという原因を分析し辿っていくプロセスも、ジャーナリストならではの嗅覚の鋭さが見えて、興味深かったです。 私は宗教そのものを否定するつもりは無いし、特定の宗教に限らず世の聖職者たちの禁欲の範囲がどこまでなのか把握しているわけではありません。その上での発言として、俗世のあらゆる欲を抑えるからこそ鍛錬、修行になるのはわかりますが、衝動を抑えきれない人間がいるのも事実で、そういった人間が影で弱者に危害を加えることになるのなら、その禁欲に何の意味があるのだろうと、こういった映画を観ているといつも不思議に思います。宗教的な教えや掟を変えることはほぼ無理だろうとは思いますが、聖職者になる条件や基準ってどうなっているんでしょう?本作は個人のみを非難するのではなく、教会の問題まで追及している点に大きな意味があると思いましたが、教会は聖職者も含め信者全員を守る公平な立場であって欲しいと切に願います。 アカデミー賞で作品賞、脚本賞を受賞した本作。作品として評価されたのはもちろんですが、アメリカ国民の関心が高いテーマを扱っていたことも受賞の要因の一つだったのではと考えます。実際にアメリカのカトリック信者の方に、この映画やここで描かれた出来事についてお話を聞いてみたくなる内容です。 |
重いテーマで、ロマンチックな要素は一切無く、デートのムードを盛り上げるような映画ではありません。2人とも宗教的な話題やこの映画そのものに興味があれば、デートで観ても良いと思いますが、敢えてデート向きとは言えない作品です。でも、アカデミー賞作品賞、脚本賞を受賞した作品ですので、見応えはあるし、語り甲斐のあるテーマなので、鑑賞後の話題は尽きないと思います。 |
キッズにはまだ難しい内容だし、性的虐待の対象が子ども達なので、複雑な心境になるでしょう。カトリック教徒かどうかに限らず、「世の中にはこういったこともあるので、気を付けよう」という意味で大人と一緒に観るならば、良いかも知れません。“性的虐待”の意味すらわからない年齢の子ども達に見せるのは抵抗がありつつも、わからないからこそ被害に遭いやすいと思うと、教えておかなければいけないという気もして、正直これは保護者の判断になると思います。 |
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2016.4.4 TEXT by Myson