2017年5月27日より全国公開
東宝
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タイトルからブラック企業に関連する話なんだろうとは予測していましたが、終盤はウルウルさせられる感動作で、意外性がありました。工藤阿須加が演じる青山は、やる気がない若者ではなく、一生懸命やっているし、人間的にも根は優しい人物だけれど、理不尽な目に遭って悩んでいるというところに共感を覚えました。「最近の若者はすぐに仕事を辞めてしまう」という風潮を手放しに肯定しているわけではなく、その背景には企業に問題がある場合もあるという事を示唆していて、本作を観ると、何でも一括りにすべきではないということが大人世代にもわかると思います。また、会社勤めするのが当たり前という世の中ですが、それに縛られてブラック企業とわかっていても我慢してしまう若者達の心情も生々しく伝わってきます。頑張り屋さんほど無理して潰れてしまうなんてやるせないですね。「生きてさえいれば何とでもなる」「死ねる勇気があるなら、生きながら再スタートを切れるはず」と心のなかで応援しながら観ましたが、そう思えない人がいる世の中である事も悲しく思えました。結局、仕事のやり甲斐って「人に必要にされる事」「人に感謝される事」だと思いますが、給料をもらっていても、青山のように毎日罵倒されていては潰れるのは当たり前。厳しく指導するのと、パワハラをするのとでは大違いですが、ぜひ管理職の大人も観るべきです。本作の最後は清々しく結末を迎えるので、この映画を観ることで少しでも救われる人がいれば良いなと思います。 |
ラブストーリーの要素は全くないので、逆に友達以上恋人未満や初デートでも気まずいシーンはありませんが、辛い仕打ちを受けながら我慢して会社勤めをする登場人物を観ると、仕事モードになってしまい、1人の世界に入り込んでしまう可能性はあります。ただ、なかなか普段お互いの仕事の話ができないカップルや、相手が何か仕事のことで悩んでいる様子の場合は、話をするきっかけにできるのではないでしょうか?明るい展開もあり、後味の良い作品なので、その辺はご心配なく。 |
将来どんな仕事をしたいか、まだまだ夢も希望もあるキッズやティーンの皆さんに、こういう現実がある事はぜひ知ってもらいたいし、広い視野で考えるきっかけにもぜひ観てもらいたい作品です。日本の風潮は学校を卒業したら会社に入るというのが当たり前ですが、会社勤めをしたから将来安泰とは限りません。どんな仕事をしていても、将来何が起こるかわからないのだから、どうせなら自分に合った仕事をしたいですよね。自分には何が向いているか、どんな働き方をしたいか、本作鑑賞を機に、固定観念に縛られずに考えてみて欲しいと思います。 |
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2017.5.10 TEXT by Myson