冒頭は「あれ?大統領の料理人の話だよね?」と不思議に思わせるシーンで始まります。なぜ、大統領の料理人のはずの主人公オルタンス・ラボリが南極で食事を作っているのか、その謎はだんだんと明かされていきます。本作では華やかなパーティでの食事というよりも、大統領の日々の料理についてがメインで描かれていて、料理を通じて築かれていく大統領との絆や、彼女の料理に対するポリシーが見えてきます。前半は華やかでおいしそうな料理の数々を目で楽しみ、後半からガラッとトーンが変わってどんどん人間ドラマのおもしろさが出てきます。組織のなかで生きていくってやっぱり難しいし、自分のポリシーが間違っていなかったとしても通用しない環境のなかでは何も意味をなさないんだなと痛烈に感じさせられた内容でした。最後は清々しく終わってくれますが、やりがいや意義を持って仕事に励む人にはいろいろと心に刺さる内容です。ぜひ働く女性に観て欲しい一作です。 |
ロマンチックなムードになりそうなシーンはありませんが、どんなカップルでもデートで観て問題ない作品です。仕事に対する価値観を問う内容なので、仕事熱心なカップルは一緒に観に行って、鑑賞後にいろいろと話しあうとお互いの仕事でのスタンスをもっと理解できるのではないでしょうか。室内でのシーンが多いので残念ながらあまりフランスの風景は映っていませんが、おいしそうな料理が出てきますので、これを機に鑑賞後にフランス料理店で食事してみるのも良いでしょう。 |
仕事上のいろいろな心理描写については理解が難しくても、主人公があれこれ食材を手に入れて、彩り良くおいしそうな料理を作る展開はキッズやティーンが観ても楽しめます。キッズはこれを機にお母さんと一緒に料理に挑戦してみるのも良いでしょう。ティーンは大人の事情もだんだんと理解できると思うので、本作で展開される人間ドラマに着目して、プロフェッショナルとは何かなど考えてみてもらえればと思います。 |
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Les Saveurs du Palais ©2012 –Armoda Films- Vendome Production –Wild Bunch – France 2 Cinema
2013.8.8 TEXT by Myson