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『アメリカの伯父さん』『C階段』『トムとローラ』『家族の気分』『パリ、18区、夜』『奇人たちの晩餐会』『パパラッチ』『ヌーヴェル・イヴ』『水曜日は大忙し!』『女はみんな生きている』『譜めくくりの女』『地上5センチの恋心』『アガサ・クリスティー 奥さまは名探偵 〜パディントン発4時50分〜』『Le vilain』『Imogène McCarthery』『大統領の料理人』
PROFILE
1956年フランス、パリ生まれ。1980年、アラン・レネ監督の『アメリカの伯父さん』でデビュー。1985年に『C階段』で第11回セザール賞の助演女優賞にノミネートされた。1996年には『家族の気分』で第22回セザール賞の助演女優賞を受賞。その後『譜めくくりの女』『地上5センチの恋心』『アガサ・クリスティー 奥さまは名探偵 〜パディントン発4時50分〜』と連続でセザール賞主演女優賞にノミネートされた。そのほかの出演作には『奇人たちの晩餐会』『女はみんな生きている』『大統領の料理人』などがある。
カトリーヌ:この映画は世界の果ての場所から始まるので作品としても意味のあるものだと思います。私は彼女が世界の果てに行った理由は、おそらく心のなかの何かを流し去りたいという目的があったからではないかと思います。たとえエリゼ宮で多くの感動や出会いなどがあったことを思い返したとしても、この土地を見て彼女がそれまでに経験したことを洗い流していくという意味があると思います。
カトリーヌ:ええ、少しだけ話しました。私は南極での出来事が彼女にとって鎮静剤のような働きをしたのだと感じました。世界の果てでの生活はとても厳しく、丸一年も過ごすなんて大変なことだと思います。だから彼女のような生き方をするには、本当に強い意志を持った人物でなければならないと思います。それにそういった誰にも頼らず、何も無い所で1人きりになる生活は、自分自身のことを考えるために必要な時間なんだと思いました。この映画ではそういった厳しい経験がその人の人生においてとても意味のあることだということも描いています。
カトリーヌ:ご本人の近くで演じることに正直困惑させられました。私は彼女であると同時に彼女ではありませんし彼女の実体験と比べて台本は小説に近い形で書かれていたと思います。そういう意味では実在の人物を演じるというのはとても曖昧なことだと思います。もちろん本当の彼女から来ている部分もたくさんありますが、それと同時にそうでない部分もたくさんあるのです。
ダニエル・デルプシュという女性は強い個性を持つ人物で私たちが語るのは彼女のほんの一部分です。だから私自身がどう彼女を演じるのかを選別していかなければなりませんでした。
私は特に彼女の性格の指針となるものを見つけようとしていました。それに実在する彼女から解放されようともしていました。そうやって彼女という人物を自分のものにしていくのです。演じるときは毎回このような感じですが、今回特別だったのはその彼女がすぐそこに存在するということです。でも撮影が進めば進むほど、私は彼女がそこに居ることを忘れていきました。
私はこの役柄を楽しみながらも、エリゼ宮で料理をするということがどういうことなのかを真剣に考えました。当時の彼女はすでに素晴しい経歴を持っていて、自分の人生を自ら勝ち取ってきた人物だと思いますが、エリゼ宮で料理をするという出来事は予想外なことだったと思います。
この映画でおもしろいところはそんな彼女がエリゼ宮で直面する状況です。さまざまな人物に囲まれて、彼女は誰のために働くのかもよく分かりません。そこは政治の世界であり多くの仲介者が存在する世界なので、周囲の人の言うこととやることが必ずしも一致するとは限らないのです。そういった環境でも彼女は力強く頑張っていくかなり自由な人物です。ある意味ちょっとした反逆者であるとも言えますね。
この撮影はまさにパズルのようなもので、1000ピースくらいある大きな山から合うもの同士を探して作り上げてきました。その作業に感情は必要なく、それぞれのピースが、各自の場所に落ち着いて全体が一つになって出来上がっていったのです。
2013年9月7日より全国公開
監督:クリスチャン・ヴァンサン
出演:カトリーヌ・フロ/ジャン・ドルメッソン/イポリット・ジラルド
配給:ギャガ
公式サイト 映画批評&デート向き映画判定 予告編
片田舎で小さなレストランを営んでいたオルタンス・ラボリはスカウトされ、フランス大統領官邸のプライベートキッチンを任されることに。規律で縛られた官邸内は何をするにも窮屈で、同僚の官邸料理人たちは彼女を疎ましく思っている。そんななかめげずに大統領が満足する料理を作ることに専念する彼女の仕事ぶりはやがて認められてくるのだが…。
Les Saveurs du Palais ©2012 –Armoda Films- Vendome Production –Wild Bunch – France 2 Cinema
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