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フィフス・エステート：世界から狙われた男

映画『フィフス・エステート：世界から狙われた男』ベネディクト・カンバーバッチ／ダニエル･ブリュール 2015年2月18日ブルーレイ&DVDリリース（レンタル同時）
2014年7月16日よりオンデマンド先行配信
ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
公式サイト　
 フィフス・エステート:世界から狙われた男 [Blu-ray] 　

本作は内部告発サイト“ウィキリークス”の創設者ジュリアン・アサンジの実話をベースに映画化。ビジネス界で名を馳せた天才として、アップルのスティーブ・ジョブズや、Facebookのマーク・ザッカーバーグなどの実話が映画化されてきましたが、本作はその類とは一線を画すストーリーで、この物語の主人公で現存するジュリアン・アサンジが成し遂げたことが正しいのかどうかは観る人に判断をゆだねる内容となっています。
前半は、彼が叶えたいこと、その使命感に共感できるし、それを叶えるための戦略的なアイデアに感心するのですが、“ウィキリークス”が社会に及ぼす影響が認められ、徐々に存在感を増してくると、ジュリアン・アサンジの不可解な性格も垣間見えてきます。報道の自由は守られるべきとはいえ、同時にその報道によって危険にさらされる人たちの命があるというジレンマが浮き彫りになり、ジュリアン・アサンジの行いは果たして正しいのか、そして彼の行動は本当に正義からくるのか、はたまた野心、エゴからくるのかが、曖昧に見えてきます。さらに情報の正確さ、情報源となる人物やそれを世に出す人物のモラル、情報を世に出すべきかどうかの判断基準など、いろいろな側面から、現代の情報社会に疑問を投げかける内容になっていて、とても見応えがありました。情報が世に与える影響力の大きさ、それはときに凶器にもなりうつという事実も実感させられる内容ですが、個人が自由に情報発信できる現代に警笛を鳴らす一作です。
主演はベネディクト・カンバーバッチ、共演にダニエル・ブリュール、ローラ・リニー、スタンリー・トゥッチ、デヴィッド・シューリス、モーリッツ・ブライプトロイ、ダン・スティーヴンスと超豪華キャストで、最近世界的なニュースとなったウィキリークス、ジュリアン・アサンジの実話をベースにしていながら、日本では劇場未公開となったのは意外ですが、内容もさることながら、カンバーバッチの白髪キャラなど、見どころ満載の作品です。

一緒に観る相手がウィキリークス、ジュリアン・アサンジの名前を聞いたことがあると反応したら、より本作に興味を持って観ることができるでしょう。でも、相手が全く知らないという場合でも、観てみると興味を抱く内容だと思います。直接的に恋愛について問う内容ではなくそこは本筋ではありませんが、ある登場人物が仕事やその人間関係、恋愛関係の狭間で葛藤を生じるシーンも出てくるので、公私混同しがちな彼氏や旦那さんに自分がストレスを感じていることを少し気付いてもらいたい場合に見せて、ちらっとその話題に触れるのも良いかも知れません。社会的議論が好きなカップルにはとても良いネタになる作品だと思いますが、そういう話題をすることが少ないカップルでも、作品自体に見応えがあるので、どんなカップルにもオススメです。

映画『フィフス・エステート：世界から狙われた男』ローラ・リニー／スタンリー・トゥッチ

内部告発、報道の自由など、キッズにはまだ難しい内容なので、日常で流れているニュースの意味が何となく理解できるくらいになってから観ると良いでしょう。生まれたときから世の中が情報社会で、これからもっといろいろな情報ツールにまみれた時代を生きていくティーンの皆さんにはぜひ観て欲しい作品です。ここで描かれている問題は、決して他人事ではなく、私たち一般人の日常に大きく関わる身近なことです。日頃何気なく自分が発信する情報の重みも実感できると思います。

2015.2.9　TEXT by Myson